上には上がいる
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こまで一方的な勝負を見るのは初めてだった。
いつも見る勝負はすぐにナツが勝つか、最初は苦戦したが最終的には勝つか、エルザやティアを相手にした時のように一瞬で終わるかのどれかだったからである。
この勝負が始まってかなり経つが、ナツの攻撃は1つもアリアに当たらない。
逆にアリアの攻撃は見事なまでにナツに当たっていた。
「しかし我が『空域』の前では手も足もでまい」
そう言って右掌をナツの方に向ける。
「ぐっ!」
するとナツは何かに押されたかのように後ろへと飛ばされた。
アリアがナツに触れた訳ではない。これが彼の魔法『空域』なのだ。
(見えない魔法!どうすればいいんだ!)
見える魔法なら避ければいい。ナツの身体能力なら並みの攻撃は避けられるだろう。
が、相手は見えない魔法。『見えない魔法を見えるようにする魔法』でもあればいいが、ナツはそんな魔法は使えない。
そもそも、そんな魔法を使える魔導士が妖精の尻尾にいただろうか。
ガルナ島で戦ったユウカの『波動』の様に魔法を無力化させる事も出来ないのだ。
これではかなりナツは不利である。
「む」
だが、この男に『諦める』という言葉は似合わない。
否、似合わないというより、この男は『諦める』という言葉を知らないだろう。
アリアの攻撃を受けても尚、ナツは立ち上がる。
「まだ立つか、火竜」
「倒れる訳にはいかねぇんだ・・・俺は妖精の尻尾の魔導士なんだ・・・」
しっかりとした足で立つが、息は荒い。
が、ナツには倒れられない理由がある。
ボロボロにされたギルド、傷ついたレビィ達、重症のマスター、ジュピターが直撃したエルザとティア・・・そして、狙われているルーシィの為にも。
「燃えてきたぞコノヤロウ!」
アリアに向かってそう叫ぶナツ。
「ナツ・・・」
そんなナツを見てハッピーは心配そうに相棒の名を呟く。
しかしアリアは表情1つ変えず、左掌をナツの方に向けた。
「空域・・・『絶』」
「ぐあああああっ!」
ズガガガガガガガガッと音を立て、空域、『絶』はナツに直撃した。
容赦ないアリアの空域の攻撃に、再びナツは吹き飛ばされる。
(強すぎる・・・これがエレメント4、最強の男・・・)
ハッピーの目には涙が浮かんでいた。
力の差は明らか、ナツが勝てるかどうかさえも解らない。
そんな事は初めてだった。
「ちくしょオ!」
「上には上がいるのです。若き竜よ」
ナツは何とか立ち上がり、頬を膨らませる。
「火竜の咆哮!」
勢いよく炎のブレスがアリアに向かって放たれる。
が、アリアは文字通り煙のようにスゥゥゥゥ・・・っと消え、ブレスを
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