第15話 今度は黒き死神が相手だそうですよ?
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えられる事を防ぐにはもっとも相応しい防御用の術。
そして水の壁。この中で水を統べる存在は一人しかいない。
ハクに向けて押し寄せて来ていた圧倒的な死の気配は、しかし、白娘子の施した水の壁により完全に防がれて仕舞う。
そして、それと同時に死の気配が漂う世界を切り裂くように放たれる冷気の刃。
これはタマ。虎族に繋がるタマが操るのは風。
但し、その冷気の刃さえも一瞬毎に居場所を変え、黒き死に神が躱し続ける。
まるで距離と時間を無視するかのような移動。一瞬前まで存在していた場所から、瞬間的に次の場所へと移動。そして、その一瞬後にはまた別の場所に存在している。
しかし!
再び刃を交えるハクと黒き死に神。
そう。タマは無暗矢鱈と攻撃を加えていた訳ではない。その冷気の攻撃を回避して行く先に存在して居たのはハク。彼女……虎族の少女タマが黒き死に神をハクが待ち構えている場所へと誘導したのだ。
そして――――
光が弾けた。
その瞬間、強烈な金の光が黒き死に神を貫いたのだ。そして、その強い光に続くかのように奏でられる数千、数万の鈴の音。
そう。ハクの攻撃さえ実は囮。最終的に美月の破邪の矢を命中させる為の布石。
今の美月では神速で動き続ける死に神を瞳に捉える事は可能でも、矢を命中させる事は難しい。
故に、最後にハクが黒き死に神と刃を交わす事に因り、美月が弓の狙いを定める貴重な時間を捻出したのだ。
矢が離れた瞬間、美月はそれまでにない感覚に囚われた。
そう。これまでにない矢を放てたと言う充足感。身体中から。いや、周囲の空間に存在していた光を、すべて先ほどの矢に乗せて放てたと言う感覚を得られたのだ。
美月の見ている映像。一瞬が何百倍にも間延びさせられた映像の中でも、確かに黒いローブにも似た衣装に包まれた身体を貫く金色の矢を完全に映していたのだ。
光が完全に消え、黒き死に神が存在していた場所に視線を送る美月。ただ、これは確認作業に等しい行為。
其処にボゥと立って居たのは、当然のように完全に胸から上の部分が消え去って仕舞った黒き死に神の成れの果て。
悪夢の如き……いや、悪夢そのものの姿。だが、ここから回復し再び動き出すとは考えられない姿。
しかし……。
傷口からあふれ出して居た黒い液体が、更に周囲に立ち込める暗黒物質が徐々に集まって行く……。
神の威圧感の前に誰も動き出す事は出来ず。
「――無理よ」
その一部始終を見終わった破壊神の少女シノブの無情な呟き。そして、
「そもそも、アレに死の概念はないわ」
最早、絶望しか生み出しそうにない言葉を続ける。
再び動き始めた黒き死に神が何時の間にかその手の中に現れた鎌
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