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私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第15話 今度は黒き死神が相手だそうですよ?
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に、伝説上に残されている弱点のような物など存在する訳はない」

 それとも、あたしがアレを消して仕舞いましょうか?
 一番簡単な方法を提示する破壊神の少女シノブ。
 確かに、最後の最期。本当にどうしようもなく成ったとしたのなら、その選択肢の行使も止む無し。美月はそう考えた。

 神は本来、頼る物ではない。神に誓い、その誓いを護る事に因り、神はその人間に加護を与える。
 しかし、今はその場面ではない。美月はそう考えて首を横に振った。

 何故ならば……。
 未だ、ハクは諦めている訳ではないから。
 彼女が諦めた時……。その時は、間違いなくハクの生命が失われる瞬間。
 その直前ならば、どんな返りの風を受けるか判らないが、それでも、彼女を失う訳には行かないから。

 例え、この箱庭世界での死が、この世界に召喚された人間に取っては夢の中の一コマに過ぎない。本当の意味での死ではないとしても、相手は人間の魂を刈り取る死に神。
 あの黒き死に神が、刈り取った魂を無事に元の世界に帰すとは限らないから。

 そう。本来ならば死に神に刈り取られた魂は、輪廻の輪に還される事が世界の理のはずですから……。



 ハクの放った空間の断裂のひとつひとつを、ゆっくりと確認するかのように。しかし、神速を持って回避を続ける黒き死に神。
 これは生命(存在)としてのポテンシャルが違い過ぎる事の現れ。ハクの戦闘時の速度が如何に神速で有ろうとも、それでも尚届かない高見にあの黒き死に神は存在していると言う事。

 すべての空間の断裂を回避し終わり、未だ接近中ハクとの間に僅かな隔たりが存在する。
 その刹那!
 怖気を誘う絶叫が放たれ、黒き死に神チェルノボーグを中心に黒い憎悪にも似た何かが集まって行く。
 これは間違いなく瘴気の塊。

 人間が……。いや、生命を持つ存在が最期の瞬間に上げる叫びを集めたモノ。慟哭と怨嗟に満ちた悪しき気の塊。
 黒き死に神を中心にして集まった禍々しいまでの瘴気の塊が、渦を巻く。

 見た目にはゆっくりと。ゆっくりと渦を巻き、周囲を異界の闇に閉ざし、生命を泡のように儚く消えさせる瘴気の塊が、今――――

 放たれた!

 死に神のみが集める事が出来る何千、何万にも及ぶ断末魔の悲鳴が、聞く者の精神を侵食しながら真っ直ぐにハクの元に。
 もし、これが命中すれば、穢れに異常に弱いと評されたハクが無事に終わる訳はない。

 しかし!

 ハクの正面に立ち上がる水の壁。そう、古来より怨みを流すのは水と言われている。土行に因る防御陣では怨みを縛り、そして徐々に侵食されて行く事と成る。これでは、おそらく今回の呪法を完全に阻止する事は出来ない。
 しかし、絶えず流れ続ける水ならば、怨みが一所に留まり、蓄
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