第15話 今度は黒き死神が相手だそうですよ?
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瞬間、ハクの目の前に浮かぶ魔術回路。その円が発する眩いまでの蒼光が、片膝を大地に付き蹲る少女を、死と狂気が支配する世界の中心に、ぼぅと浮かび上がらせた。
その一瞬に何が起きたのか判らない美月でしたが、それでも、あれだけの傷を受けても尚、何の問題もなく動く事の出来る黒き死に神が恐怖すべき対象で有るのなら、あの一瞬の間に物理攻撃を相手に反射する術式を組み上げたハクは驚嘆すべき存在で有ろうか。
ただ、どちらにしても、腹部から胸に掛けて深手を負い、それに続き右腕も失った黒き死に神に最早……。
ゾワリ……。
……動く事など出来るはずはない。
今度こそ勝利を確信した正にその刹那、背筋が凍るような異常な感覚を美月が覚えるのとほぼ同時に、周囲から何かが黒き死に神に集まって行く。
それは、
生ある者から、生なき者から。
蒼穹から、大地から。
世界そのものから吸い出されるかのように黒き死に神に集められて行く何か。
美月の見ている目の前で黒き液体を吹き出し続けて居た傷口が、じゅくじゅくとした肉塊にも似た何か……。内側から盛り上がる黒い物質によって徐々に塞がって行く。
更に、斬り跳ばされた右腕の有った位置に黒き何かが蠢くような……。まるで痙攣するかのような、その部分だけが何か黒い別の生き物のような不気味な動きを繰り返す度に、徐々に盛り上がって行く切断面――――
そうして……。
「あいつは死なないの?」
まるで悪夢を見ているかのような異常な事態が起こり、美月の目の前で致命的と思われた傷を、その黒き死に神はあっさりと再生して仕舞ったのだ。
周囲に瘴気を放ちながら、一歩、こちらに向けて足を踏み出す黒き死に神。
「触れるモノの生命を吸い取り、死をもたらす刃を振るう黒き闇。あたしが知って居る黒き闇と呼ばれる死に神で、白い光と言う呼び名の神と永遠に争っているのなら、それは死に神チェルノボーグ」
破壊神の少女シノブがそう言った。
彼女の声を開戦の合図とするかのように、再び動き出すハク。
「それで、弱点のような物はないの、その死に神は!」
白い巫女服を黒く穢されながら、それでも、先ほどよりも神速で剣を閃かすハク。
牽制の役にしかたたないにしても、それでも回復する一瞬の間は、黒き死に神の動きは止まる。
まるで、その時間を稼ぐ為だけのように……。
いや、まるで自らの存在を……。すべての能力を持って、この不死身の化け物を封じるかのように……。
「ないわ」
しかし、無情なる答えを返す破壊神の少女シノブ。
「あれは本来、世界を創造したと伝えられている神の片割れ。その創造神の死や闇を支配する面が現われたのが、あの黒き闇チェルノボーグ。
そんな存在
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