第十一章
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第十一章
「ですがかなり少なくなっているのは事実です」
「日本の方が進んでいるのかも知れませんね、そういうところは」
「全てにおいてそうとは言えないと思います」
ここでこう返す役だった。
「それは別に」
「そうですか。別にですか」
「はい。では薪のことですが」
また話す役だった。こう牧師に言うのであった。
「私達の方で切って来ましょうか」
「薪をですか!?」
「はい、明日の昼にでも」
「それでどうですかね」
役だけでなく本郷も話に加わってきたのであった。
「私達はまだ若いですし」
「それに力もあります」
二人は牧師に対して提案する。
「それでどうですかね」
「よければ」
「とはいいましても」
だが牧師は二人のその提案に難しい顔を見せるのであった。
「今はじめて御会いした人に対してその様なことを御願いするのも」
「いえ、いいですから」
「私もです」
それでもまだ言う二人であった。
「このままここにいらしてもらうのも何ですし」
「御願いできるでしょうか」
「教会に来た神の羊達は全て温かく包む」
神の僕らしい言葉であった。
「ですからその様なお気遣いは」
「御心配なく」
「ただの好意と思って下さい」
渋る牧師に対してまた話した。
「ですからどうか」
「やらせて下さい」
「そこまで仰るならです」
ここで牧師も遂に頷いたのであった。二人の好意を受け入れたのである。
「宜しく御願いします」
「はい、それじゃあ」
「明日のお昼に」
「三人で参りましょう」
牧師は穏やかな笑みで二人に応えた。
「それで宜しいですね」
「ええ、では」
「今日はこれで」
「お風呂があります」
牧師は最後に言った。
「入ってそれでお休み下さい」
「あっ、すいません」
「御好意有り難く受けさせて頂きます」
こうして二人は牧師の好意の風呂も受けそのうえで彼が用意したそれぞれのベッドに入った。そうしてそのうえで休んだかというと。それは違っていた。
真夜中になるとだった。二人はすぐにベッドを出て。静かに教会の外にも出るのだった。青い冷たい夜空の上に白い満月が輝いていた。
その満月の輝きを見上げながら。本郷は役に対して言うのだった。
「話を聞いていますと」
「そうだな」
本郷のその言葉に対して頷く役だった。
「ここの村人達はどう考えてもな」
「普通の人間じゃありませんね」
この結論は今はっきりと出ていた。
「まずね」
「昼に動かないとなると」
「夜ですけれどね」
「だが。おかしい」
役は周囲を見回しながら述べた。
「本郷君、誰かの気配は感じるか」
「いいえ」
役の言葉に首を横に振った。
「何も感じませんね」
「これを使うか」
言
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