反董卓の章
第4話 「俺の意見は――――」
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「昨日、庭で変な音がしたらしいけど、なんだったの?」
「ナンデモナイヨー……」
「「ガタガタガタ…………」」
「????」
どうしたんだろう?
朱里ちゃんも雛里ちゃんも、青い顔で急に震えだした。
ご主人様は、疲れたように口から白いものを吐き出しているし……
「桃香様、その話はまたいずれ……」
「え? そ、そお? じゃあ、次の話ね」
愛紗ちゃんまで苦笑しているし…………あんまり突っ込まないほうがいいみたい。
「はっ……では、私の方から」
頬をポリポリと書きつつ、馬正さんが前に出る。
「警邏隊の状況ですが、定軍山方面の見張り台や駐屯地の建設に遅れが出ているようです。あそこは急勾配な上、断崖絶壁もありまして……正直、山の反対側への山道すらありません」
「あれ? 桟道は?」
不意に気づいたように、ご主人様が呟く。
「桟道、ですか? 現在ではそのような通行できる場所は……」
「盾二様。秦の恵王が蜀王を騙して作らせた桟道は、高祖が項羽に追われた時にすべて焼き落とされています。それ以来、漢中の刺史たちは高祖が必要なしとしたのだから、と修繕を怠ってきましたので」
「あー……そうか。じゃあ修繕する必要があるな…………ついでに砦も頑丈に作ろう。馬正、目星は付けてあるか?」
「は。陽平関と呼ばれる場所が最も適していると思われ……」
「陽平関、だと!?」
わっ。
ご主人様が、大声でその名前を呼ぶ。
私だけでなく、愛紗ちゃんや鈴々ちゃん、朱里ちゃんたちも目をぱちくりとしていた。
「は、はい……あの、なにか?」
「あ…………いや、すまん。そうか……陽平関、か。うーむ………………」
ご主人様は、しきりに頷きながら顎をひねっている。
陽平関って……なにか重要な場所なのかな?
「別の場所にいたしますか?」
「………………いや、要害としてはおそらくそこ以上の場所はないのだろうな。であれば…………馬正、多少の資金はかかっても構わない。強力強固な要塞にするように指示してくれ」
「は…………は!」
「いやまて…………俺が陣頭指揮をとるよ。その場所だけは取られちゃまずいからな。いっそ砦でなく城にしちまうか……」
「ご、ご主人様? たしかに定軍山より北西は守りの要ですが…………そこまでする必要があるのですか?」
愛紗ちゃんの言葉に、朱里ちゃんや雛里ちゃんも頷く。
確かに西の守りは重要だけど…………あの難所をわざわざ通ろうとする賊の人たちもいないと思うんだけど。
「………………今後のことを考えると、どうしても必要だ。愛紗のためにもな……」
「は? 私のため?」
「あ、いや…………」
ご主人様は、ポリポリと頬を掻きつつ、そっぽをむく。
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