反董卓の章
第4話 「俺の意見は――――」
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「まあ簡単にいえば、火と熱を生み出すときに周囲を弾き飛ばそうとする力が生まれるのさ。これをまとめて爆発、と呼ぶ。だから火薬は総じて『爆発物』『爆薬』なんて呼ばれたりもする」
「………………」
「しゅ、しゅりちゃん…………私怖い」
「二人共、これだけでこれが怖い、と思えるならさすがだよ。そういうこと…………これは、『誰にでも扱えて、簡単に人を殺せる』ものだからな」
「「!?」」
朱里と雛里が、怯えたようにお互いの体を寄せ合う。
意味がいまいちわかっていない愛紗にも、二人のただならない様子に眉を寄せている。
すでに爆睡状態の一人は…………放っておくほうが、いろんな意味で正解だろうな。
「こ、こんなものを広めたら…………大陸がめちゃくちゃなことになります!」
「そうだ。だが、いずれは誰かが見つける。その誰かはその危険性を理解せず、いろんなことを試す。そして悲劇が量産される…………俺の世界の歴史は、その犠牲の上に様々な発明がされて……最終的には大陸が、何度でも消滅できるほどの火薬が世界にあふれている」
「「ヒイッ!?」」
朱里と雛里の悲鳴。
それは、未知なるものに対する生物の本能。
原初の恐怖…………だが、それこそが最も必要なものなのだ。
「理性なく、ただ溢れれば…………大陸のみならず、全ての空と海が地獄の業火となる。全ての兵器・軍略……その根源たる『知識』には、延長上にその危険性が必ずあることを……よく覚えておいてくれ」
「あうあう…………」
「………………(ガタガタガタ)」
「ご、ご主人様…………わ、私にはよくわからなかったのですが、ちょっと脅かし過ぎではありませんか?」
おずおずと手を上げる愛紗。
あ……………………うん。
そうだねぇ。
確かに脅かし過ぎたか、な?
「ま、まあ、それを理性でコントロール……じゃない、理性で安全に平和利用することも、また知識のなせる業なんだ。二人には、これから生み出すだろう軍略や兵器、そして統治には必ず『理性』を優先することを考えてくれ…………と、言いたかったんだが」
「「ガタガタガタガタ…………」」
……………………いかん、マジで失敗した。
ただ、怖がらせただけだった……
「ご主人様……」
「言わなくてもわかってる…………二人共、ゴメンナサイ」
しばらくして―――
「……にゃ?」
目覚めた鈴々が見たものは。
互いに抱き合いながらも震え続ける、梁州の宰相二人と。
その宰相に平身低頭で土下座する、その二人の主人である俺。
そして俺を呆れた様子で説教する、泣く子も黙る関将軍の姿であったとさ…………
―― 劉備 side 漢中 王座の間 ――
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