反董卓の章
第4話 「俺の意見は――――」
[6/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ことで、先ほどの爆発が『火薬』と呼ばれるものだ。正式には『黒色火薬』と呼ばれる」
「かやく……ですか?」
「にゃ? それってラーメンの上の具材のことか?」
はい、鈴々さん。
名称は似ているけど、漢字が違うのですよ。
『加薬』ではなく『火薬』なの。
「火を使う薬……そういう意味ですね?」
「朱里、正解。この黒色火薬は、硫黄・硝石・木炭を一定の割合で混ぜた時に起こる発火・燃焼反応を起こすようになる、大変危険なものだ。だが、これの有用性は数多くの発明の基になった。この燃焼反応により、俺の世界の文明は急速に発達している」
「燃焼……物が燃えて、熱が出る反応ですね? その熱を使ってものを動かす……盾二様のお話にあった動力というものの基礎、ということでしょうか?」
「雛里、さすがだね。そう、全ては熱を利用することから文明は発達してきた。人類が火を発明してから食事や生活の幅が広がったように、『熱』というものは人の生活においてとても重要なものだ。天然自然なものでは、天の日の光、地上の放射熱、気圧の温度の違いによる…………すまん、この辺は朱里たちにもまだ厳しいな」
首を傾げる朱里と雛里。
ついでの愛紗と鈴々は、片や顔面はてなマーク、片や睡眠呪文になっていた。
「ともかく、熱を出すのは火がもっとも簡単だ。木を擦り合わせれば摩擦よって熱が生まれ、それがある一定の温度まで上がれば着火する。火打ち石は、石と石を叩きつけた摩擦熱により火花が生まれる。全ては『熱』によって『火』が生まれるわけだ」
「はい。我々の生活においても火は重要ですし、軍略においても火計は戦術の基礎です」
「うん。今までは火を素早く広げるために油をまいたり、藁や乾燥した木々に火をつけることで火計を使ってきた歴史がある。だが、この『火薬』というものは、それ単体で火と熱を生み出すだけでなく、それに『衝撃』を加えたものなんだ」
「「衝撃…………」」
二人の天才的軍師が、互いに顔を見合わせる。
そりゃそうだ……この時代には、火薬なんて生まれていたかどうか。
あったとしても秘伝の秘。
文献の最古の記録が六世紀だから、未来の技術と言ってもいい。
だが…………それが使われていなかったという証明であるわけでもない。
理由などいくらでもあるのだ。
文献に記載されなかった、記載された文献が紛失された、あるいは理解されずに『氣』の力、仙人の力とされた……などなど。
歴史など……本当は後世の人が、文献を頼りに信憑性が高いと『勝手に』判断したものにすぎない。
その証拠こそが…………俺の纏うAMスーツのオーバーテクノロジーをもたらしたオーパーツ、『賢者の石』であり。
数々の遺跡の封印を施してきた『スプリガン』の仕事なのだから。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ