反董卓の章
第4話 「俺の意見は――――」
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…」
「お前のことだから大丈夫だとは思うが…………あくまで奴は、北郷一刀を殺すための『贄』だということを、忘れるなよ」
「……っ、それは、もちろんですよ」
そう……あの男は。
北郷盾二は……………………
―― 盾二 side 漢中 ――
「で、これをすり鉢でこうやってまぜて……まぜて……まぜて……」
ゴリゴリ
「はわわ…………この黒いものが、本当にそんなことに?」
「あわわ…………信じられないです」
俺の傍らにいる二人の宰相が、俺の腕の隙間から覗きこむように乳鉢の中を見る。
「おいおい、危ないぞ。これは二人が考えている以上に危険なものなんだから……」
俺は混ぜあわせた粉を、竹を半分に割った中に入れる。
そして誰も居ない庭の真ん中において、油を染み込ませた太い絹糸の先端を、その粉の中にいれる。
そのまま糸の反対を持ち、二人がいる場所まで戻り……
「いいか? 二人共よく見ているんだぞ?」
地面においてあった灯籠の火のなかに、反対側の糸を入れる。
すると、油が染みこんだ糸を伝い、急速に火が走って行き――――
バァ――――――ンッ!
「キャッ!」
「ヒャッ!?」
激しい破裂音と共に、庭の中心にあった竹筒がはじけ飛ぶ。
その拍子に、飛んできた竹の破片から二人を守りつつ、その様子を眺めた。
庭の中心は、はじけた竹筒と地面に黒いシミが放射状に広がっただけでなく、黒い黒煙が昇っている。
「今の音は何だ――――っ!」
ドドドドド、と駆け足とともに、愛紗が庭へ顔を出した。
「!? ご主人様! それに朱里、雛里…………まさか、敵国の細作ですか!?」
愛紗が、自慢の青龍偃月刀を掲げて俺達の前に立ち、周囲を警戒する。
その様子に…………俺はバツが悪気に頬を掻く。
「…………すまん、愛紗。今の、俺のせいなんだわ」
「は!?」
くるっと、俺を見る愛紗の訝しげな目。
うーむ……先に周囲に言っておくべきだったか。
「えっとな、ちょっとした理科の……じゃない、実験だったんだよ、実験」
「じっ……けん?」
愛紗の訝しげな目が下へと下がっていき、見られた朱里と雛里がコクコクと頷く。
その姿に、まるでリスのようだとか不謹慎なことを考えた俺。
「…………いったいなにを?」
「あー…………まあ、ちょっとした学問の実証というか、なんというか」
そう言いつつ頭を掻く。
すると―――
「賊はどこなのだ――――――っ!?」
うちの元気印が飛び出してくるわけでして。
結局、愛紗や鈴々を交えての勉強会になってしまった。
「……という
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