準決勝
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まえ」
ワイドボーンの言葉に、ヤンは苦笑して、肩をすくめた。
と――フェルナンドの艦隊が、アレス艦隊の射程へと入る。
それに気づいたのだろう。
すぐにヤンとワイドボーンは真剣な表情に戻り、モニターを見た。
その姿は戦術シミュレーター大会を楽しむ観客の瞳ではない。
実戦を知った軍人の気配に、ライナは小さく息を飲んだ。
+ + +
「主砲斉射三連――撃て」
アレスの言葉とともに、伸びた射撃が三方からフェルナンド艦隊に殺到した。
安心しきって索敵艦をあまり出していたことも災いしたのだろう。
囲むように撃たれた一撃に、多くの艦隊が融解した。
混乱する艦隊を上手く立て直すことも出来ず、続く射撃によって次々と撃ちとられていく。身じろぎする艦隊の一部が、抵抗を試みるが、左右からの圧力によって上手く制御されている。
フェルナンド艦隊は五艦隊一万五千――アレス艦隊は三艦隊一万一千であり、艦数こそフェルナンド艦隊の方が多いが、それを上手く使えない。
最初の一撃から上手く誘導されて、圧迫されていく。
そのため後方に逃げた一部の艦隊は、敵の間に味方がいるために、遊兵となった。
「敵はこちらよりも少ない!」
フェルナンドの叫びは、誰の耳にも伝わらない。
いや、伝わっているのだろうが、少ないと言われるだけでは、どう判断していいのかもわからない。
少ないから攻めれば良いのか。
それとも少ないから離脱を目指すのか。
錯綜する情報に、撃ちとられる数だけが肥大していく。
逃げだそうとした一部隊は、周囲の援護もなく前に出たため、サミュールの苛烈な攻撃を加えられて撃沈した。
左右からの圧迫は強くなり、自然と球状にフェルナンド艦隊は集まっていく。
「サミュール、グリーンヒル――左右から斉射三連」
対するアレス艦隊は、冷静な声が命令となって二人に届く。
何をすればいいのか。何を任せるのか。
それが短い言葉となって理解されるため、左右に別れた二つの艦隊は着実に命令をこなす。
撃ち込まれた一撃に、さらに中央に押し込まれた――そこにアレス艦隊が動きを変えて、鋒矢の陣形へと変化する。
「いけ」
短い言葉とともに、敵の中央に激突。
フェルナンド艦隊は一瞬の抵抗も出来ずに、壊滅した。
+ + +
フェルナンド艦隊とアレス艦隊の接触から、わずか二十分。
その間に繰り広げられた殲滅戦に、誰もが息を飲んだ。
先制攻撃をしてから、相手を囲み、とどめを刺す。
一連の動作に相手は満足な反撃も出来ずに、叩き潰された。
ライナもまた息をすることを忘れて、それを見ている。
そこで動く気配がした。
ヤンとワイドボーンだ。
戦いは終わっ
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