準決勝
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
・フェルナンドを初めとして、全員が戦略研究課程の生徒だ。
それでも……。
慣れたように姿を見せる目つきの悪い青年。
「烈火……」
誰かが声を出せば、フォークですら説教を止める。
前評判をあざ笑うかのように、全て圧勝で予選を終了させた。
ざわめきが波のように広がる。
アレス・マクワイルドを先頭にして、並ぶのは彼のチームのメンバーだ。
四学年のセラン・サミュールはともかくとして、他のメンバーは緊張を浮かべている。
それもそうだろう。
準決勝というだけでも緊張するのに、彼のチームメイトとして期待を込められれば。
そんな視線に、フォークは鼻で笑う。
「のんきなものだ」
と。
振り返ったライナに、フォークは爬虫類を思わせる笑みを浮かべた。
「いいか。覚えておけ――戦いは始まる前には、既に終わっていることもある。奴は決勝には進めない」
+ + +
戦いは、誰もが想像していない方向へと進んでいた。
最初に奇襲によって三学年が――次に、奇襲のため待機していた二学年の後方を、狙い澄ました様に襲撃されて、飛散した。
わずか三十分の間に二艦隊が大きく打撃を受け、対する相手はほぼ無傷の状況である。
開始三十分が経過して、アレス艦隊は大きく劣勢に立っていた。
戦いは遭遇戦――そして、場所はクラウディス星域。
以前のアッテンボローとアレスが対戦した場所であったが、今回は様子が違う。開始直後に動き始めた相手のフェルナンドは、実に見事な艦隊運用を行っている。
まるで場所を知っているかのように、相手の行動を読み、戦略を立てて、攻撃する。
アレス艦隊も、上手く対応はしているものの、最初の出遅れが響いていた。
「フェルナンドは賭けに出た――そして、見事に賭けに勝ったみたいだ」
観客の一人が、感心したような声をあげた。
策敵を最小限に行っての行動は、失敗すれば大きな被害を受けることになる。
その可能性を理解しても、アレスと戦うためにはリスクが必要と思ったのであろうか。
それにしては……。
戦場の様子を見ながら、ライナは眉をひそめた。
賭けだというのであれば、動きに多少のぎこちなさが生まれるはずだ。
しかし、フェルナンドの艦隊に、そのぎこちなさはない。
まるで決められたように動き、決められた作戦行動をとっている。
そんな感じを受けた。
「しかし、これでアレスも四連覇は無理だな」
笑いを含んだ声に、ライナは観客の男を睨む。
その視線に気づかずに、観客の男は更に言葉を続けようとしていた。
「……な、わけがあるか。馬鹿ども」
思わず強く否定しようとした言葉。
それは背後から聞こえた野太い言葉によって、遮られた。
背後
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ