11月11日〜君とチョコレート菓子〜
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葉の意味に心当たりがあるか」
眉を寄せたままのシュルツが、眉間の皺を更に深くする。
「はぁ、存じております。通常は二名で行うものなのですが……詳細は口頭ではご説明できかねます」
歯切れの悪い回答に、オーベルシュタインもやや眉間に皺を寄せた。
「そうか……。では、やってみるか」
「は?」
シュルツは思わず耳を疑った。いや、すでにずいぶん前から疑いっぱなしではあったが、再度念を押す必要があるほど驚愕し、口を半開きにしたまま視線を彷徨わせていた。
「『は?』ではない。口頭で説明できぬと言ったのは卿の方だ。だが、不明のまま片付けるわけにもゆかぬ。他愛もない言葉であろうが、その意味を知ることで、思わぬ敵方の目論見を探し当てることになるやもしれぬ」
淡々と良く分からない理屈で自分を責め立てる上官は、どこからどう見ても冗談を言っていわけではなさそうだ。
「私も実践してみるから、卿が相手になれ。通常は二名で行うものなのであろう?」
心なしか目を細めて眉間を歪めるオーベルシュタインが、妙に艶めかしく見えて、シュルツは言葉を失った。
「あっ、はいっ……いや、でもっ……せ、せっかくですが、小官ではお相手できません!お許し下さい!」
頭を下げて猛然と出入り口の扉へ向かうと、そっと目だけを上官に向けて助言した。
「小官よりも提督方にお聞きになってはいかがでしょうか。例えば、ビッテンフェルト提督のような……独り身で遊び慣れていらっしゃる方などに」
それだけ言い残して疾風のように去っていく秘書官の後ろ姿を、オーベルシュタインは表情を変えずに見送った。
「なるほど、シュルツのやつは逃げましたか」
呆れたような笑みを浮かべるのは、昨日まで出張を命じられていた軍務省官房長アントン・フェルナー准将である。左手に報告書を携えて、端正だが掴みどころのない顔を無遠慮に上官へと向けている。
「それで、諸提督方から聞き出すことはできたのですか」
フェルナーの問いにオーベルシュタインはかぶりを振った。
「ビッテンフェルト提督へTV電話をかけて尋ねたところ、『貴様にそのようなことを教える義理はない』と怒鳴られ、仕方なくロイエンタール提督の元帥府を訪ねた」
「はぁ、それで?」
オーベルシュタインはひとつ大きな溜め息を吐いた。
「ロイエンタールは親切にも手取り足取り教えると言ったのだが、どういうわけだかベルゲングリューンに物凄い剣幕で追い返されたのだ」
心底理解できぬといった表情の上官に、思わず苦笑を浮かべる。
「ポッキーの日というのは古くに設定された記念日のひとつで、棒状のチョコレート菓子『ポッキー』にちなんだ製菓メーカーの販売促進行事と言ってよろしいでしょう。現代では無論、その名を冠された菓子そのものは存在しませんが、同様の形状をしたチョコレート菓子を
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