事の始まり?
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後ろに積んであるピザに注意して、自分の安全運転だけを心掛けること20分、ようやく目的地に着いた。
ビザにはあまり気をつけない。
なぜなら、自分が食べるわけではないからだ。
「ここ、か、、、」
そこは、よくあるアパートだった。
ピザの宅配を頼むからには、年期の入ったアパートなどではなく、もっと立派なマンションかと予想していたのだが、人間、あまり偏見は良くないようだ。
「えーっと?203号室のぉ〜、ヤマザキさんっと」
有りがちな苗字だなと思いつつ、階段を上り目的の扉の前に立つ。
いつも、この時が一番緊張する。
毎回、クラスの前で発表するような気分に襲われる、いやそれ以上かもしれない。
今日も思い切ってベルを押す。
『ピーンポーン』
それにしても、きれいとは言えないアパートだ。
いや、もう一度言うが、人間、あまり偏見はよくない。
もしかしたら服装くらいはしっかりした人かもしれない。
やがて数秒後―――ガチャ
鍵が開く音がしてから、ややゆっくりと扉が開いていく。
「こんにちは!ピザハッ、、、、」
思わず、口が止まってしまった。
これは、さすがに偏見がどうのこうのって言えないぞ!?
こういう人、テレビで見たことあるもん!
生活保護受けてる人だったけども!
そこには、上にTシャツ一枚、下は短パンではなく、もはやトランクス一丁、というラフ過ぎる恰好をした男がいた。
宅配員が男じゃなかったら、どうしてたのだろうか?
そこにもびっくりだが、もっと驚いたのは、扉を開けたと同時に、涼しいを通り越して、もはや寒いと感じるような風が流れ出てきたことだ。
普通の人なら、この真夏日に、ここまで部屋を冷やすのは相当な電気代がかかるんだろうなぁ、と考えたり、あと一歩で不労者のお仲間じみた人の、どこにそんな金があるのだろうか、そしてその恰好で、どうして顔から汗が噴き出ているのか、と考え込んでしまうだろう。
しかし俺の場合は一味違った、というのも、目には背後の機器しか映っていなかったのだ。
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