暁 〜小説投稿サイト〜
魔狼の咆哮
第一章その八
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第一章その八

「貴様の何処が偉大だ。貴様は力の無い少女達を犯し貪り喰らう醜い化け物だ。貴様の様な化け物は地獄に落ちるがいい」
「フフフ、地獄か」
 人狼が不敵に笑った。
「俺は地獄には落ちぬ。地獄に落ちるのは忌々しい人間共の方だ」
 嘲を含んだ声で笑った。
「ほざけ、罪の無い人々を喰らった怪物が」
「言ってくれるな。我々人狼の力と由来を知らぬ愚か者達が」
「人狼の力か。良く知っているぞ」
 役が進み出て来た。
「貴様は・・・・・・」
 役の顔を見て人狼の顔から嘲りの色が消えた。
「由来も知っている。吸血鬼の兄弟にして共に夜の世界を支配してきた暗黒の種族よ」
 右手に持つ拳銃の狙いを定めた。
「貴様、いや貴様達によって多くの命が失われてきた。これ以上の命を失わせない為に、暗黒の種族の繁栄を防ぐ為に貴様にはここで死んでもらう」
 拳銃の引き金を引いた。弾丸が人狼の左肩を貫いた。
「がはっ・・・・・・」
「如何に闇の種族といえどこれは効くだろう。銀を溶かして造った弾丸だ」
「グオオオオオ・・・・・・」
 右手で左肩を押さえ呻いている。傷口からドス黒い血がぽたぽたと滴り落ちている。
「これでこちらには飛び掛かれないだろう。次は心臓だ」
 止めを刺そうとしたその時だった。不意に何かの群れが飛び出てきた。
「むうっ!?」
 それは狼の群れだった。ざざざ、と草原を滑り二人を取り囲んできた。
「くっ、使い魔達か・・・」
 本郷が背に隠し持っていた刀を引き抜いた。白銀の光が闇夜を照らす。
「貴様等の相手はこの者達がしてやる。せいぜい遊んでいろ」
 傷口を押さえつつ二人を見下ろし嘲り笑った。
「待て、何処へ行く気だ」
「逃がさんぞ」
 ナイフと銀の弾が放たれようとする。しかしそれを狼達が妨げた。
「いずれこの傷の借りは返してやる。その時は貴様達の最期だ」
「くそっ!」
 本郷が悔しそうに叫ぶ。だがそこへ狼達の牙が襲い来る。
「貴様等なぞっ!」
 日本刀が横に一閃される。狼の首が宙に舞った。
「生憎使い魔程度に倒される程弱くはない。貴様等がどれだけいようと敵ではない」
 一発ずつ確実に狼の脳と心臓を打ち抜く。見事な腕である。
 狼達は次々と数を減らしていく。すぐにその数は数えられる程になっていた。
「グルル・・・」
 残された狼達が二人を囲みつつ吠え立てる。だが二人は至って冷静沈着なままである。
 狼達が襲いくる度に狼達の数は減っていく。遂に最後の一匹となった。
「ガルルルル・・・」
 一匹になろうともその狼は怖れなぞなかった。うなり声をあげ体勢を屈め弓の様に引き絞っている。
 その一匹が本郷に襲い掛かってきた。血に飢えた牙が汚れた唾液でぬめぬめと光った。
 本郷はその胸に刃を突き立て
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ