暁 〜小説投稿サイト〜
もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
もしもチートなのは外伝 私の義兄は鬼いちゃん
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
リ切ってしまえ。要るのならばこっそり持っておけ。苗らしいと言えば苗らしい言葉だ。
使える物は使い、駄目なら捨てる。それだけ聞くとまるでアニメの悪役みたいな彼女の台詞は、不思議となのはの心にすんなりと浸透していった。

―――その結果、彼女は思ったのだ。
私は人のために魔法を使っていると言っていたけど、それはきっと半分嘘だったんだ。父さんが入院した時と同じ、自分の意思を押しつぶしてそう言い聞かせていたのだ。それでは昔と何も変わらないではないか。

だから、なのはは少しだけ・・・ほんの少しだけ、悪い子になることにした。

―――私は魔法の虜になった。だから管理局の人に「来なくていい」と言われても魔法を習いに行きたい。家族を心配させてしまっても、私は魔法を放り投げたくない。だから自分に正直に、私は魔法の道を続けることを選んだのだ。自分がそう思ったから、高町なのははやるのだ。



・・・でも、悪い事をしたら罰が当たることを、その時の私は完全に失念していたのでした。



 = = =



空間全てを塗りつぶすような恐ろしく重苦しい重圧(プレッシャー)がまるで体を締め付けるように圧し掛かる。まだ何もしていないにもかかわらず息が乱れ、自然とレイジングハートを持つ手に力が籠り、恐怖が体を縛る様に硬くさせる。

『ごめんねなのはちゃん。今日、彼は友達の付き添いで偶然ここに来ててね?その・・・君が家族に隠して訓練してるってこと、バラしちゃったんだ』
『という訳で・・・ま、訓練がてら叱られてきなさい』
『高町。お前の兄は接近戦特化タイプだから懐に入れるなよ。プロテクションなど破れる奴にとっては障子一枚だ』

完全に観客モードに入っている3人組。ニルスは心底申し訳なさそうに、マリアンはどこか愉快そうに、クルトはどうも実力差がありすぎることを察したのか、なのは側のオペレーターになっている。

視線の先にいるのは、バリアジャケットとは思えないほど体のあちこちを金属製のプレートで包まれた一人の少年。なのはの兄。少しは歩み寄れたと思っていた人。今、こちらに背を向けているにもかかわらず「怒っている」と確信できる怒気を放つその少年の背中は、自分と歳があまり変わらないとは思えないほど巨大に錯覚させた。

「なのは」
「ぇひゃいっ!?」

既に数分前まで持っていた小生意気な決断力など塵と化し、震える子ウサギの様に体を震わせているなのははその声に思わず飛び上がった。
目線は右へ左へとふらふら動き、額には熱でもあるのかと思うほどに脂汗が浮かび、思いっきり腰が引けてる上に膝が若干笑っている。歯と歯がかちかちとぶつかり、当然ながら顔面蒼白。まるで隻眼の黒い剣士か第六天魔王にばったり出くわした一兵卒のようだ。

ニルスは家族の問題
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ