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銀河英雄伝説〜美しい夢〜
第四十話 独占慾
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いるらしい。

三十分程前にアイーシャに着いた。周囲を確認したが特におかしな点は無い。ブラウンが裏切る事は無いと思うが念の為だ、用心は欠かせない。十分程前になると地上車が二台到着しブラウンとウィンクラーが降りた。二人がそのまま喫茶店に入る、地上車もそのまま待機だ。

五分ほど経ってから地上車に近付き中を確認した。乗っていたのはロイシュナー、ゼフリン、ドルマン、それにハルバッハだった。一台に二人ずつ乗っている。どうやら問題は無さそうだ。いやここまでは無いと思うべきか。四人は俺を見て驚いていたがそのままにして喫茶店の中に入った。

ブラウンとウィンクラーは店の奥にあるテーブル席に居た。俺が近付くと信じられないものを見たような表情をしている。席に着いても変わらなかった。ブラウンとウィンクラーの前にはコーヒーが有ったが未だ手を付けていないらしい。俺の所にもウェイトレスが注文を取りに来たからコーヒーを注文した。

「隊長、隊長ですよね?」
「そうだ、幽霊じゃないぞ、ブラウン」
俺の言葉にブラウンとウィンクラーが顔を見合わせた。
「どういう事なんです、何故ここに隊長が……」

ブラウンの口調は恐る恐ると言った感じだ。二人とも俺が裏切ったと思っている、まあ無理もないか……。
「俺の身分は捕虜だ、まあこれを見ろ」
胸ポケットから書類を出してブラウンに渡した。

ブラウンとウィンクラーが書類に目を通した。書類には俺が帝国の捕虜である事、一時的に同盟に戻る事、オーディンには六月三十日までに戻る事が記されている。言ってみれば一時帰還の許可証と言って良い。そして許可証にはブラウンシュバイク公のサインが有る。

「分かったか、あくまで一時的に帰還を許されただけだ。お前達の様子を見て来てはどうかと言われてな、納得したか?」
「はい」
「では今度は俺の質問に答えろ、良いな?」
二人が頷いた。

「第七次イゼルローン要塞攻略戦の失敗だが原因は何になっている?」
二人の顔が歪んだ。
「……正式には何の発表も有りません。……ですが誰もがローゼンリッターが裏切ったからだと言っています」
「政府も軍もそれを否定する様な事は何も……」
ブラウンとウィンクラーの口調には力が無かった。ウェイトレスがコーヒーを持ってきた。一口飲む、意外に良い豆を使っているらしい、味は良かった。

「ローゼンリッターに対する処分は?」
「何も有りません。ですが解隊するんじゃないか、そんな噂が出ています」
ブラウンが答えるとウィンクラーが溜息を吐いた。解隊か、有り得ない話じゃない。原因を公表せず処分も無い、そして時間を置いて解隊……。第七次イゼルローン要塞攻略戦失敗の原因はローゼンリッターの裏切りにあるという事だ。だがそうなれば何処の部隊でも受け入れた旧ローゼン
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