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ヒダン×ノ×アリア
第10話 死闘
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ゃ。ふう、詰まらん幕引きじゃのう。このゲーム儂の…」

 ―――勝ちじゃ。



* * *



 クルトは必死に保っていた。
 さもすれば自分の感情が表に出てしまわないように。

「このゲーム、儂の…勝ちじゃ」

 目の前で勝鬨を上げている男に悟られぬように。必死に自分を押し留めていた。

(まだだ…。まだ、勝負は終わっちゃいない)

 クルトの眼は、心は死んではいなかった。

 彼にはまだ、“切り札”がある。

(まずやらなきゃいけない事は充電を行う事だ。少なくとも数秒、“神速(カンムル)”を発動出来るだけの充電を…ッ)

 その為にはまず、レズリーを…、いや、レズリーの立っている場所をどうにかする必要がある。

(正直成功するかどうかは分からない。けど、それでも俺は成功させる。絶対にッ!)



* * *



「さてクルト、そろそろお主にも死んで貰うとするかのう」

 レズリーが言うと同時に、クルトがゆっくりと立ち上がった。

「はっ!誰が死ぬかよ。俺はまだ、諦めちゃいないぞクソジジィ」

 クルトの言葉に、レズリーは楽しげに笑う。
 如何に敵同士といえど、勝利に貪欲な者を、レズリーは嫌いではなかった。

「そうか。では存分に向かってくるがいい」

 それが合図となり、クルトはレズリーの右側に回り込むようにして移動する。そして、そのまま移動すると同時にレズリーの足元に潜り込むように肉薄する。

「ふんっ!!」

 レズリーは冷静にクルトに向けて蹴りを放つ。

「ッッ!!」

 クルトは身体を回転させながらその蹴りを躱す。そして更に歩を進め、間合いを詰める。
 レズリーの巨体では近づかれ過ぎると逆に動きが制限される。そう考え、その弱点を着いたのだ。レズリー程の実力者の懐に会えて潜り込む。仮に分かっていたとしても簡単に行える事ではない。
 クルトはレズリーの腹部に向かって拳を繰り出そうとする。が。

「がぁッ!?」

 レズリーの蹴りがクルトの顎を打ち抜いた。
 その威力と、予想外な所からの攻撃で、クルトの意識は一瞬暗転する。しかし根性でギリギリ繋ぎ止める。

「まだじゃよ」

 今度は回し蹴りをクルトの頭部に当てる。
 咄嗟に腕でガードしたが、クルトでは完全に防ぎ切れる筈もなくそのまま壁に叩きつけられる。

「がはっ!」

 崩れ落ちるクルトを見下ろしながら、レズリーは楽しげな表情を浮かべている。

「お主、懐に入れば儂の巨体では小回りが利かんと思ってそうしたんじゃろうが残念じゃったな。その程度の事が弱点ならばヨーロッパ最強にはなれんよ。じゃがまあ、そのガッツは認めるがのう」

 かかかか。と、老獪な
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