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ヒダン×ノ×アリア
第10話 死闘
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クルトの“神速(カンムル)”でも大ダメージを与えられた。
 その筈だった。

「ジジィ、なんでそんなピンピンしてんだよ」

 クルトも、アリアもレズリーがさしてダメージを受けた様子がない事に驚いていた。それどころから片膝すらついていない。そして、それが僅かな隙として生まれる。

「敵が眼前におるのに驚いとる暇などないじゃろ」


「「ッッ!!??」」


 一瞬で距離を詰めたレズリー。そのまま攻撃をしようとした瞬間。

 ドン!!

 再びクルトの能力による神速の攻撃によってレズリーは後方に吹き飛ぶ。が、今回はそれだけでは終わらない。
 アリアが吹き飛ぶレズリーに合わせ、ながら移動してきたからだ。

 “神速(カンムル)”の能力の一つに、攻撃にも電撃を乗せる事が出来る。つまりクルトが行う全ての攻撃は、「スタンガン」のような性質を帯びる。それ故に攻撃を喰らえば、如何な強者といえどその動きは一瞬、もしくは数瞬だけ止まる。

 その隙をアリアは逃さない。

 作戦の通り、アリアは自らのオーラを拳の移動させる。

「レズリーさん、これで…終わりよッ!!」

 アリアのパンチはレズリーの顔面を正確に捉える。“硬”による攻撃の威力は凄まじく、特に強化系能力者のそれは、まさに必殺の一撃に相応しい威力を誇る。
 それが無防備な顔面に炸裂する。
 レズリーはその威力に吹き飛ぶ。筈だったが、彼は己の腕を巧みに使い、地面への激突を避けながら後方に下がり、そして難なく着地した。

「はあ、はあ、はあ…そ、そんな…」

 オーラの総量が先天的に多いアリアにとっても、今の一撃はかなりのオーラを消費した。地上の屋敷の壁を破壊する時も“硬”を使用したが、今はそれよりも遥かに多いオーラによる攻撃を行ったのだ。
 二度による“硬”の攻撃。
 消費したオーラは半分を優に超えるだろう。
 それでもレズリーの片膝すらつかせる事が出来ない。

「くかかかっ!今の攻撃は先程以上に聞いたな」

 額から血を流しているにも関わらず、レズリーは優雅に歩き出す。

「この…ッ、あッ!?」

 アリアが驚いた。その時には既にレズリーの背後にクルトが現れる。
 レズリーに大したダメージを与えられない事をある程度予見していたのだろう。でなければ有り得ないタイミングだ。
 しかし、クルトがレズリーが起き上がるのを予見していたように、レズリーもまた同様にクルトの動きを予見していた。

「くかかかッ!!」

 レズリーは笑いながら、振り向き様クルトの顔目掛けて裏拳を放つ。
 しかし、それが届く遥か前に、クルトの拳がレズリーの横腹を捉える。それだけに留まらず、二撃、三撃と連続して攻撃を放つ。

「ぐふっ」

 
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