第10話 死闘
[1/6]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
初手はクルトだった。
一気に駆け出し、レズリーに肉薄する。
「ちょ…ッ!?クルト!?」
そのいきなりの行動にアリアは面食らう。
如何にクルトが強かろうと、レズリーに無策に突っ込むなど自殺行為以外の何物でもない。
「お主…儂を嘗めとるか?」
クルトの行動にレズリーも思わず声を荒げる。そこには落胆と失望、そして自分に対する認識の甘いクルトに対する怒りは籠められており、レズリーは鍛え上げられたその巨躯から想像出来るレベルを遥かに超えた凄まじい速度のパンチを繰り出した。
拳の全オーラを集束させた「硬」による超高速の突き。
(ダメッ!当たるッ!!)
アリアはそう確信する。
そして彼女の脳裏には次の光景がフラッシュバックのように鮮明に描き出されたのだ。
内臓や脳みそを撒き散らし、惨たらしい姿で即死し、絶命するクルトの姿が。
しかし、その瞬間アリアは見た。
薄く、本当に薄くだけ笑う、クルトの唇が。
―――バチチッ!
そんな音が聞こえたと思った瞬間、ドォン!という音と共にレズリーの巨体が後方に吹き飛ばされた。
「…え?」
アリアは思わずわが目を疑った。
先程のレズリーの攻撃は間違いなく直撃コース。普通であれば回避などまず不可能。そのレベルの拳速だった。にもかかわらず結果は、クルトが立っており、レズリーは後方に吹き飛ばされた。
―――何が起こったのよ…?
疑問を抱くアリア。が、それは直ぐに分かる。
「ク、クルト…?そ、それ…」
アリアが目にしたのは、髪が逆立ち、身体からオーラによって形成されたであろう電気を纏うクルトの姿があった。
「これが俺の能力、―――“神速”だ」
神速。
電気に変えたオーラを身体の末梢神経に直接流し込む事によって超人的な反射行動を可能にする能力。それによって獲得出来る相手との圧倒的初速の差は凄まじい。
じゃんけんに例えるならこの能力発動中は常時後出しが出来る状態にあると言っても過言ではない。
「まあ、今はまだ燃費が悪いのと、攻撃力が低いのが欠点なんだがな」
今だ発展途上な能力ではある。
しかしクルトには策があった。
「俺がこの能力でレズリーのジジィの動きを止める。アリア、お前は動きが止まった瞬間に“硬”による攻撃を叩き込め」
「分かったわよ」
クルトの言葉に、アリアはこくりと頷く。
「いやあー、流石に今のは応えたわい。“硬”のせいで予想外のダメージを喰らってしまったのう」
二人の会話の最中、吹き飛ばされたレズリーがやってくる。
“硬”を使った事により、他の部分のオーラがゼロになった故に、如何に攻撃力の低い
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ