鬼神vs伝説
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「ええ。がんばるわ。もしかしたらジジイと私がぶつかることで危険なことが起きるかもしれないからそのときは皆をよろしくね小十郎」
「はい! お任せを!」
それだけ告げると小十郎は揚羽の元に駆けていった。
見送った千李が舞台のほうに目を向けると既に鉄心が準備を完了していた。千李も舞台に上がると鉄心と対峙する。
「ルールは昨日説明したとおりじゃ。どちらかが負けを認め降参するか、または気絶するかじゃ」
「了解。じゃあさっさとはじめましょうか」
「うむ。ではルー頼んだ」
鉄心に言われ舞台脇にいたルーが頷いた。
「それでハ、これより川神鉄心対川神千李の死合いを始めまス!!」
ルーの声と共に千李が構えを取る。鉄心は構えを取らず自然体でいる、決して千李を過小評価しているわけではなく、この態勢が彼の構えなのだ。
二人の間に流れる数瞬の沈黙。
しかし、その沈黙はあまりにも長いものだった。いや、実際は一秒にも満たない時間だろう。だがそれだけの時間をあまりにも長く感じさせるような空気が張り詰めていた。
そして沈黙は破られる。
「始め!!」
ルーの合図と共に千李は縮地を行い一瞬にして鉄心の背後に回りこむ。
「フッ!!」
力をこめた右足の蹴りが鉄心の側頭部を捉える。
が、
「ふむ、やはり力は以前より確実に上がっておるのう。速さも申し分ない」
鉄心は涼しい顔でそれを防いでいた。だが、千李もそれに驚愕することはなく冷静に足を引き、その場から離脱する。
「やっぱあんな力じゃ無理ね」
「やはり手加減しておったな? まぁ髪紐をしとるからそうだとは思うたが」
鉄心は小さく笑いながら千李を見据える。
「では次はこちらからじゃ。耐えてみせろよ?」
言うと鉄心が消えた。いや、先ほど千李がやったような縮地を使ったのだろう。だが、鉄心が表れる方向がわからない千李ではない。
「右!」
言い放ち千李が右を向いた瞬間、鉄心が現れるが再度その姿が消えた。連続縮地である。
だが千李はそれに小さく笑う。
瞬間、千李の後方から鉄心が出現し拳を放つ。
しかし、その拳は千李の手により止められた。
「やはり止めるか。さすがじゃの」
「準備運動はこれくらいでいいでしょ。ジジイ、そろそろ本気で行きましょうよ」
千李はにやりと笑い後ろの鉄心を一瞥する。それを見た鉄心も千李の手を振り払い離脱する。
「久々に骨がおれそうじゃわい」
「冗談。そんなこと微塵も感じてないくせに」
「そんなことはないぞ? これでも中々きついんじゃ」
すると鉄心は先ほどまでの柔和な笑みを消し、千李を見据える。
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