第五十五話 刃の使い方その十五
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「それはわかるな」
「貴様が剣士だからな」
「それでだな」
「まだ余力はあるというのだな」
「そうだ」
まさにその通りだというのだ。
「俺にはまだ切り札がある」
「では我等もそれを出そう」
「我等の力をな」
「そうさせてもらう」
「貴様の力は何だ」
ゲーリュオンの三つの口に問う。
「一体」
「火だ」
「我等はそれを使う」
「そして戦うのだ」
「そういえばだ」
ここで加藤はこのことを言った。
「貴様は犬を買っていたな」
「それか」
「オルトロスだったな」
加藤は言った。
「そうだったな」
「如何にも」
怪物も悪びれずに返す。
「いい犬だ」
「怪物だがな」
「怪物でもいい生き物だ」
これがゲーリュオンの見ているオルトロスだった。
「俺の愛する犬だ」
「そうだ、あんないい犬はいない」
「まさに最高の犬だ」
こうそれぞれの口でそれぞれの腕から槍を繰り出しながら言うのだった。
加藤はその彼等の攻撃を受けながら言う。
「そうか。しかしだ」
「しかし。何だ」
「何が言いたい」
「言ってみろ」
「犬は犬、貴様は貴様だ」
それぞれ違うというのだ。
「それを言っておこう」
「つまり俺達に勝てる」
「そう言うか」
「貴様一人で」
「充分だ」
加藤は左右から来る二本の槍を超人的なフットワークでかわしている、そして中央のそれは己の剣で受けている。
そうしながらだった、こうも言うのだった。
「こうしてかわしているな」
「言うな。防戦一方だが」
「それでもか」
「そう言うのか」
「そうだ、充分だ」
まさにそうだというのだ。
「貴様程度の奴は何ということはない」
「では見せてみろ」
中央の顔が言った。そしてだった。
その口から火を噴こうとする。それで加藤を焼くつもりだ。
しかしここで加藤は攻撃を繰り出す。突きを幾つもだった。
「?これは」
「隙があるな」
加藤は突きを繰り出しつつ攻撃を中断した怪物に言った。
「炎を吐こうとしてもな」
「くっ、その隙を衝いてきたか」
「そうだ」
槍での防戦に徹しだした怪物に返す。
「この通りだ」
「そう言うか。しかしだ」
「しかしか」
「この程度で終わるつもりはない」
中央の顔が言う。
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