第五十五話 刃の使い方その十三
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「そうさせてもらうよ」
「左様ですか」
「じゃあね。まあ私は政治にはこれといって興味はないし」
嘘は入れていない言葉だった。
「この話はこれでね」
「はい、では戦いですね」
「これで二人。後は」
「俺の答は一つしかない」
加藤は王の言葉に即座に返した。
「戦いがあるならだ」
「戦うだけだね」
「それしかない」
実に単純明快な返答だった。
「戦えるのなら剣士でも怪物でもいい」
「まさに戦闘狂だね」
「戦い程面白いものはない」
これが加藤の考えだ、その考えのまま言った言葉だ。
「怪物は何処だ。倒してやる」
「焦る必要はないわ」
スフィンクスはこうその加藤に言った。
「すぐに来るから」
「そうか。では楽しみにさせてもらう」
「どういった怪物かは問わないのね」
「俺はどんな怪物でも戦うだけだ」
それだけだというのだ。
「そして勝つ」
「ああ、私は知りたいからね」
「私もです」
王とスペンサーは加藤の様に相手には無頓着ではなかった、すぐにスフィンクスに対してこう問うたのだった。
「それでどういった怪物かな」
「教えて頂けますか」
「ゲーリュオンよ」
スフィンクス二人に応えてこの名を出した。
「この名前を聞けばわかるかしら」
「確か三人が一つの胴でつながった巨人ですね」
スペンサーがこう返した。
「そうですね」
「知ってるのね」
「三つの頭、六つの手足を持ち」
そしてだった。
「背中で三人がつながっていますね」
「それがゲーリュオンよ」
「中々面白い姿をしていると思ってはいました」
「そうね。そしてそれぞれの手に武器があるわ」
それで戦うことは言うまでもない。
「三人相手には相応しいわよね」
「俺は一人でも相手をするがな」
やはりその闘争本能と好戦性は変わらない加藤だった、その目には赤い光さえ宿っている。
「だがいい」
「戦うのならそれでいいのね」
「そうだ、ではそいつはもうすぐ来るな」
「そこにいるわ」
スフィンクスはそう言って自分の左を見た、するとだった。
そこにその巨人がいた、三つの頭、ざんばら髪のその頭にある顔はそれぞれ凶悪で三人を敵意の目で見ている。。
その彼等を見てからスフィンクスはまた言う。
「では後は戦うことね」
「あんたはどうするんだ」
「帰らせてもらうわ」
それで終わりだというのだ。
「これでね」
「そうするか」
「私は怪物だけれど戦わないわ」
スフィンクス自身はそうするというのだ。
「貴方達の敵ではないわ」
「珍しい怪物だな」
加藤はスフィンクスにこう返した。
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