第三章その九
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夜が明けますよ」
二人に対し警部が言った。
「おっと、もうそんな時間か」
カレーが指を鳴らす。その指から不思議な光が生じ宮殿を覆い始めた。
鏡がなおっていく。床のヒビが消えていく。
アンリの亡骸が消えていく。それを見て本郷と役は全てが終わったことをかみしめていた。
「これでお別れですね」
シャルル=ド=ゴール空港にて本郷と役は署長達の見送りを受けていた。警部と巡査長、カレーと中尉も一緒である。
「事件も終わりましたし。もうちょっといたかったですけどね」
本郷はにこりと笑って言った。
「名残惜しいですがこれで。縁があったらまたお会い出来るでしょう」
役が挨拶した。
「そうですね、一度そちらにお伺い致しますか」
警部が悪戯っぽく言った。
「その時は僕も連れてって下さいよ」
「何言ってるんだ、自分で行き給え」
「そんなあ」
二人のやりとりに一同爆笑した。
「休みが取れたら私も行きたいですね。日本の食事には興味があります」
中尉がにこりと笑って言った。ふぉうやら結構健啖家らしい。
「私ももう一度。また日本のお酒をいただきましょう」
カレーが笑った。
「え、日本に来られたことあるんですか?」
「仕事で。今度は旅行で行きたいです」
「その時は京都へ。良かったら案内しますよ」
「喜んで」
二人の言葉に一同頷いた。しばしの別れの挨拶を終えるとフランスの友人達に手を振りつつ二人は母国へ飛び立つ空の船へ乗った。
魔狼の咆哮 完
2003・4・16
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