第三章その六
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魔術は普通の魔術より強い」
黒魔道師達が十字路で魔方陣を開くのもこれによる。
「それにより普通ならば本体の劣化コピーに過ぎない分身の力を高めたのか」
カレーの言葉に答える。
「そうだ、この五人の俺は俺と同じ力と魔力を備えている」
耳が尖る。爪が伸びる。
「人狼の力を持つ俺がそれぞれ貴様等の相手をしてやる。光栄に思うがいい」
舌が伸び眼が赤く変わる。顔げ変形し黒い毛に覆われる。
「行くぞ」
一人が左手を、他の五人が右手を横に振る。手の平から炎の柱が噴き出る。柱はすぐに剣に変化した。
六人のアンリが一斉に跳んだ。高い部屋の天井に届かんばかりに跳躍した。
上空で炎の剣を放つ。紅蓮の剣が回転しつつ一行に襲い掛かる。
一行はそれを六方に散開してかわした。かわしつつそれぞれの得物を手にとる。
得物を手にし構えをとる六人の前に六人のアンリが来た。それぞれ一対一で睨み合う。
宴が始まった。六人のアンリは皆炎の剣を本郷達はそれぞれの得物を手に闘いが始まった。
アンリが炎の剣を振るう。剣は火の粉を撒き散らしつつ襲い掛かる。
それを本郷は日本刀で、カレーは氷の刃で受ける。他の四人はかわしつつ銃や鉄拳で攻撃を仕掛ける。
刀を持つ二人はほぼ互角に勝負を進めていた。だが接近戦の武器を持たない四人は苦戦を強いられていた。
「どうした、自慢の銃は飾りか」
「くっ・・・・・・・・・」
アンリの一人が役を挑発する。アンリの攻撃の熾烈さと素早さの前に照準を定められないのだ。
それは警部と中尉も同じだった。銀の銃弾を持っていても当てることは出来なかったのだ。
特に巡査長は苦労していた。懐に飛び込めず自慢の空手や柔道の技を使えなかった。
「まずは貴様から屠ってやろうか」
「うっ・・・・・・・・・」
歯噛みする。だが劣勢は変わらなかった。
カレーは本当のアンリと対峙していた。炎と氷が激しく交差し豪奢な部屋を二つの色で照らし出す。
「貴様は本当の俺が殺してやる」
「出来るか、貴様に」
二人は激しく斬り合う。二つの刃が打ち合い火の粉と氷の結晶が舞い落ちる。
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