第9話 死闘の幕開け
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楽しげな空間も長くは続かない。
「ほう、様子を見に来れば、まさか二人でイチャついておるとは」
現れたのはヨーロッパ最強とすら言われる武偵、レズリー=ウィリス。
彼から無意識に漏れ出るオーラは、その評価を裏付けるに相応しい凄まじさだ。
「まさか黒幕が自分から出てくるとはな」
レズリーのオーラに冷や汗を流しながらも、クルトは好戦的な笑みを作った。
逆にアリアの表情は非常に硬い。
「ところでジジィ、お前の仲間の武偵はどこ行った?」
そう質問をしてみるが、クルトにはレズリーの返答がなにかなど分かっていた。それは、今現在彼が漂わせている強烈な死臭によって。
「くくく、お前さんなら分かるじゃろ?」
その言葉でクルトは確信する。
「…殺したのか」
「そうじゃ。念も満足に使えん奴等を仲間にしても無意味じゃからな」
「なら…、ならなんで仲間にした?」
「簡単じゃよ。カモフラージュじゃ。儂が目指すべき…“理想の世界”の為のな」
―――理想の世界。
その言葉にクルトは不快気にその顔を歪める。
アリアも理解不能といった表情だ。
「理想の世界?まさかジジィ、とうとうボケたか?」
「いや、儂はボケておらんよ」
「理想とかのたまう時点でボケてんだろうがッ」
「まあ、そう焦るでない。儂の理想の世界、それは必ずこの世の為になるものじゃ」
「そういう奴の世界は大抵碌なもんじゃないって決まってんだよ。大体ジジィ、お前は一体どんな世界を作るつもりだ?」
その問いに、レズリーはニヤリと口元を歪めた。
それが不気味に見え、クルトは無意識下に半歩下がる。
「それを教える訳にはいかん。じゃがそれじゃお主等も納得せんじゃろ。故に一つ、ゲームをせんか?」
「ゲーム?」
「そうじゃ。ルールは至って簡単。お主等が儂に両膝を着かせる事が出来たら勝ち、お主等が気絶、もしくは戦闘不能に陥ったら負けじゃ」
「へえ、そりゃ簡単なゲームだな。ところで一つ質問があるんだが」
「なんじゃ?」
「―――もしあんたを殺したら、その時ってどうなるんだ?」
レズリーは沈黙した。
それは彼にとって完全なる予想外の言葉。今まで…過去三十年近く自分以上の強者と出会った事等なかった彼にとっては、クルトのその言葉はとても新鮮だった。
だからだろうか、レズリーが、楽しそうに笑ってしまったのは。
「面白いぞクルト!儂が死ねば、その際もお主達の勝ちじゃ。儂の理想は潰える。―――まあ、じゃが…」
―――ブワッ!!
凄まじいオーラがレズリーから噴き出、辺り一体を埋め尽くす。
「―――貴様程度のヒヨッコに殺される
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