誕生日
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ハッピーバースデイ、切嗣。
あなたが生まれてから、
笑ってから、
泣いてから、
決意してから、
戦ってから、
憎んでから、
悔やんでから、
絶望してから、
死んでから、
光を見つけてから、
また歩きはじめてから、
更に一つの時が流れた。
私はもうあなたの傍にはいないけど、
私はここにいる。あなたを見ている。
だから、泣かないで。
笑ってみせて。私の愛しい人。
「……朝か」
ベッドの上で目を覚ました。ひどく懐かしい人と出会った気がする。とても悲しい夢だった。胸の中に在る、あつくいたいモノが零れ落ちそうな夢。
だけど、なぜか悪い気はしなかった。
「切嗣」
傍らで、僕の名前を呼ぶ人がいた。
「一夏か……」
「早く行こうぜ。みんなやきもきしている。特にあの二人なんか三日前から準備していたから――」
「そうだね。顔を洗ったら行くから、先に向かってくれ」
先に彼を追いやり、洗面所に入った。洗面所の鏡に映っていたのは、少し無精ひげが生え、少し老けた顔をした僕だった。
その眼を見て、言った。
「思ったより長生きしたな」
鏡に映る自分も同じ言葉を返した。
なんと言い返そうかと思ったけど、何をいっても意味がなかった。だから、一言だけ一方的に告げてやった。
「×××××」
それっきり、彼は振り返ることなく、部屋を出て歩きはじめた。
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