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魔狼の咆哮
第三章その三
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けありかなり広大な宮殿でして」
 中尉はある書類を取り出した。それは宮殿の間取り図だった。
「これは・・・かなり広いですね」
「今は美術館として使われていますが元々は王の為に造られたものですからね。それもあのルイ十四世の」
 ルイ十四世は『太陽王』と呼ばれ芸術を愛し派手好きなことで知られる王であった。
「今はトイレは有りますよね」
「当然ですよ」
 本郷の言葉に思わず吹き出しそうになった。この宮殿は設計ミスかトイレが少なくおまるで代用していた。もっともそれで宮殿に出入りし住まわせている者達全てにそのおまるが行き渡る筈はなくカーテンの裏や中庭で用を足していた。その為宮殿の内外は極めて臭かったらしい。

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