暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D―魔法使いのキセキ―
戦闘校舎のフェニックス
第29話
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「『そろそろ眠ってもらおう。次目が覚める頃には無事式も終わっているだろう』」
「勝負ありですわね」
 レイヴェルがそう告げる。
 ああ、俺もそう思う。
 イッセーのかすかに笑っている表情が見えなかったらな。
「『火を消すなら、やっぱ水だよな』」
 イッセーが懐から小瓶を取り出した。中には液体が入っていた。
「聖水っ!?」
 十字架同様アーシアに頼んだものだろう。
 一部の悪魔は鼻で笑っている物もいるが、驚愕している人物もいる。
「『クソがぁ!!』」
 ライザーもイッセーの狙いに気が付いたんだろう。力を込めるが
 それよりも先にライザーの体に聖水がふりかかり
「『ブーステッドギア・ギフト!!』」
 聖水に力を譲渡した。
「『ぐああああああぁぁぁぁぁ!!』」
 悲鳴を上げのたうちまわっている。
 体から煙が上がり、背中の炎の翼は形を保てていない。
 十字架同様に高められた聖水がライザーの肉体と精神を蝕んでいるんだろう。
 灰から再生するフェニックスも精神はすぐに回復することはできない。そして、あの再生能力は精神から来ている。聖水の力が止んだにもかかわらず、その体が再生していない。
 イッセーは籠手で聖水を握りしめさらに聖水をかけた。
「『アーシアが言っいてた。十字架と聖水が悪魔は苦手だと』」
 ライザーの姿を見据える
「『木場が言っいてた。視野を広げて相手と周囲を見ろと』」
 体から左腕の籠手に向かって赤いオーラが集まっていた。
「『朱乃さんが言っいてた。魔力は全身を流れるオーラから集めると』」
 体制を整え、こぶしを構える。
「『小猫ちゃんが言っていた。打撃は体の中心線を狙い、的確かつ抉りこむように打つと』」
 狙いを定めているときにライザーが慌てふためいた。
「『ま、待て!分かっているのか!?この婚約は悪魔社会に必要なことなんだぞ!お前のような何も知らない小僧がどうこうするようなものじゃない!』」
 やめさせようと必死に説得しているがイッセーは一蹴した。
「『難しいことなんてわからねぇ。でも、分かっていることもある!部長がお前と一緒になったら、部長は幸せになんてなれない!
 朔夜が、俺の相棒が言ってたんだ!何も考えずに、何も気にせずに、相手が誰だろうと、なんだろうとただやりたいように突き進む。それが俺だと!』」
 ライザーの腹部に目がけてイッセーがこぶしを振るう。
「『部長を幸せにする。それが俺のやりたいことだ!なら、俺はそれに向かって構わず突き進むだけだ!!』」
 叫びと共に拳がライザーを貫いた。
「『こんなことで・・・俺が・・・』」
 腹部を抑えながら数歩下がったライザーは、そのまま前のめりに倒れていった。


 ◇◆◇


「勝負ありだな」
 俺はそう告げる。

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