本編 第一部
三章 「真心の隣に友情はあったりする」
第十一話「登校日」
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
八月のまだ暑さの残る雲高らかな夏のことだ。この学校は夏休みに一度、登校日がある。
よく良い環境には良い人物が集まるという。この学校の勉強はまったくゆとり教育を無視しているほど厳しい。
そこで藤沢は学内トップ3に入る成績なのだから、実はものすごい努力家なのだ。藤沢にはなにやら小学校時代のファンがひそかに年々増していたり、保健の水沢先生もまた、ひそかに恋心を抱いているとかそういう話もある。
片や、豊村伊佐という女性は、いちどたまたま、原宿に用があっていったときに、あるカメラマンにぜひ一枚取らせて欲しいといわれて、まあ、面白そうだからと撮ったその写真が、後日、モデルのファッション雑誌の一面を飾っていたというくらいの美人である。
成績も常にトップであるし、言動も人の目を引くところがあるくせに、本人は周りに無関心という、彼女を恋人にしたい男子や恋人すら敷居が高すぎてけど憧れてしまう男子そして意外にも女子、そう豊村伊佐は、そのへんの男より下手をすると男らしいだからそれに惚れてしまう女子も少なくない。
豊村伊佐と藤沢賢治が恋人同士になった。
そんな噂が学校の生徒の中でこの夏休みの間に生徒から生徒へ噂はどんどん広まっていた。
登校する賢治と豊村は、もはや学校中の噂の的だった。
二人は、それらに全く関心がない。
「ねえ、賢治先輩ってあの豊村って子の何なのかな?」
「噂じゃ、夏休み中、二人で山に合宿にいったんだってよ?えー?だれに聞いたかって?馬鹿、新幹線で待ち合わせしてるとこを偶然みたやつがいるんだよう」
「はあ、豊村さんって、美人で学内でも成績いいし、はっきりいって憧れちゃうのよ、だけどなにか近づきがたいというか、なのに何故、あんな、ヤンキーくずれが・・・・・・!」
「ばかっ、あなた知らないの?賢治先輩は、学校一喧嘩強いのに武術部にもはいらない、昔は町内ボクシングチャンピオンだったらしいし、そのころから影で先輩のこと好きな子たちがすんごいんだって知らないの?」
もちろん、こんな噂などみんな二人に筒抜けだ。だがどれ一つとして二人の心を揺るがすことは出来なかった。そう、悪い噂は自然と対抗グループがいて消してしまうし。良い噂なら興奮して喋りあう程度で終わってしまう。
もはや、伊佐も賢治もお互いのことしか見えてないのだ。
今日の最初の出会いの一言からして、早朝ちょっと賑わす話題になるほどだったが。
「おお、伊佐、久しぶりの登校の癖によく遅刻しなかったな」
「ああ、夏休み、おまえのおかげでやはり退屈しなかったしな。今も、実はちょっと早起きしておまえの寝顔でも見に行ってやるかとおまえの家に行こうとしてたところだったんだがおまえ、朝めちゃくちゃ早くなったな」
「ああ、あの死ぬほどの合宿のせいで、早朝の鳥のさえずりで、おまえの裸思
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ