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銀河英雄伝説〜悪夢編
第四十九話 本当は臆病だったのかも
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仕事もお願いしましたからね、それに対しては代価を払わないと。……ただ働きが好きという人は何処にもいません」

あそこは奥さんが平民だから結婚する時に大分散財している。おまけに今度は税も取られるし頭が痛いだろう。大体ヘルクスハイマーが死んだ後、その財産が国に返還されるならともかくリッテンハイム侯爵家の物になってるのはおかしいだろう。門閥貴族ってのは本当にやりたい放題だったな。あと五十年、連中の天下が続いたらシャフハウゼン子爵家なんて潰されていたかもしれない。

鉱山の採掘権が戻ればシャフハウゼン子爵家も少しは楽になるはずだ。それに他の貴族達も政府に協力すればそれなりに恩恵が有ると分かれば協力的になるだろう。シャフハウゼン子爵には採掘権を返還したが他の貴族は勲章の授与と褒賞金で解決だな。勲章の授与の回数が或る一定の回数に達すれば爵位を上げても良い、いやそれも褒賞金で解決するか、喜ぶだろう。もっとも役に立つ貴族がいるかどうか、そこが問題だが……。

「しかしシャフハウゼン子爵も言いましたが反乱軍との交渉はまとまりませんでした」
「まとめる気が有りませんでしたからね、そのためにシャフハウゼン子爵を選んだんです」
シャフハウゼン子爵は臆病な善人だ。決して自己主張の強い人物ではないし交渉の上手な人間でもない。俺が命じた事だけを忠実に果たしてくれた、というよりそれ以外は出来なかった。

同盟側も首を捻っただろう、交渉者としては全くの不適格者な人物を出してきた、帝国は本気で捕虜交換を纏める意志が有るのかと疑問に思ったに違いない。おそらく今回の交渉は予備交渉みたいなものと思っただろう。だが交渉者が誰であろうと帝国宰相の代理人なのだ。そして条件を拒否したのは同盟だ、責任は同盟政府に有る。

ヒルダが俺を見ている。感心しない、そんな感じだな。依怙贔屓だと思っているようだ。
「ミューゼル少将の件も有ります、少しは援護してあげないと」
俺が言うとヒルダがなるほどというように頷いた。ヴァレリーは無言だ、何を言っているのか分からない筈だが問い掛けてこないのは必要と有れば俺が話すと思っているのだろう。煩くない女ってのは良いよな。

「フロイライン・マリーンドルフ」
「はい」
「私は統治に有効だと思うからシュテルンビルト、ノルトリヒト子爵家を優遇しています。しかし彼らの身体に流れる血には権威など認めていない。だから私が彼らとの政略結婚を望むなど有り得ません」
ヒルダの顔が少し強張った。

分かったか? 俺はゴールデンバウムの血に権威など認めないし敬意など払わないと言ってるんだ。当然だがエルウィン・ヨーゼフ二世にも権威など認めないし敬意も持たない。権威か……、必要な時も有れば不必要な時も有る、そして時によっては作り出す事も……。俺は今それを捨てようとし
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