第34話 「税制変更許可」
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持って、フレーゲル男爵の恋の応援を致しましょう。
「それで宜しいな」
「それも人生経験だろう。人生うまく行く事ばかりじゃないさ」
アイコンタクトで確認しました。
シラッとした表情で、話す皇太子殿下ですが、とてもひどい男だと思います。
自分の手を汚さないだけ、えぐい人ですね。
■宰相府 ラインハルト・フォン・ミューゼル■
なんだ?
背筋がゾクッとしたのだが?
フレーゲル男爵が呆然とした表情を浮かべ、こちらを見ている。
ああそうか、勘違いしていたのだな。
かわいそうなやつだ。
それもこれも皇太子が悪い。
皇太子が諸悪の根源なのだ。
フレーゲル男爵も巻き込まれてしまって不幸なものだ……。
■宰相府 ジークフリード・キルヒアイス■
ラインハルト様がフレーゲル男爵を見つめておられます。
どことなく憂いのこもる眼差しで。
見つめられたフレーゲル男爵は、しばらく見つめ合っていたかと思うと、視線を逸らし、頭を掻き毟りだした。
悩んでおられるのでしょう。
そう簡単に割り切れるものでもないはず。
ですが、それを乗り越えて強く生きてください、としか申し上げようもない。
そして決然と顔を上げ、宰相閣下にフレーゲル男爵領の税率の事を話し出しました。
「各貴族領で税制改革が始まり、税金が引き下げられました。しかし未だフレーゲル男爵領では、税金が引き下げられておりません。これでは領民も改革の実感は得られませんし、不満が高まる一方です」
「ふむ。卿の言う事は一理ある。それでどうしたい?」
「フレーゲル男爵領でも、税率変更の許可を得たいのです」
「許可しよう。いままで当主がまだ幼い、もしくは成人に達していない星系は変更させていなかったが、今後は政府主導で変更していくべきだな。フレーゲル男爵、よく進言してくれた。礼を言うぞ」
「いえ、帝国貴族として当然の事です」
フレーゲル男爵はそう仰いますが、その当然の事を言い出してきたのは、男爵が初めてです。
同じような年頃の貴族も多いのですが、誰も自ら、言い出したりはしてきませんでした。
収入が減るのが嫌なのでしょうが……。
改革に反対していると思われるほうが、結局は損になるでしょうに。
ラインハルト様もうんうんと頷いています。
税率変更の件も、後見人が幼い当主を無視して、勝手に変更しないようにと、考えて動かさなかったのですが、今後は宰相閣下が動かす事になるでしょう。
それがフレーゲル男爵の進言を基にしてとなりますと、バカな貴族からは恨まれるでしょうが、平民達からは支持されることでしょう。
さすが改革の旗手。
ブラウンシュヴァイク公爵の甥だ、と。
そしてこれからの帝国でも貴族として、生き残る
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