第二章その七
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うんですか」
捜査は相変わらず進まなかった。二人は焦りはしなかった。落ち着き払ってカレーに悟られぬよう気遣いながら捜査を続けた。
その二人の部屋をノックする音がした。ドアを開けるとあの執事が立っていた。
「何か御用ですか?」
「お二人にお話したい事がございまして」
「?何でしょうか?」
「ここではお話するのははばかれます。部屋の中でお話したいのですが」
「どうぞ」
二人は執事を部屋に招き入れた。
「お茶でもどうですか?」
「いえ、お構いなく」
三人はそのまま席に座した。彼が何を話しに来たか二人にはわかっていた。
「お二人は旦那様を捜査なさっておられるようですが」
単刀直入で切り出してきた。
「・・・・・・・・・」
二人は否定しなかった。かといって肯定する言葉を出さなかったがこの無言が何よりの肯定の言葉であった。
「やはりそうですか。旦那様もそのことにはお気づきです」
「・・・・・・・・・」
やはり二人は何も語らなかった。ここで下手に言葉を発するつもりは無かった。
「旦那様を一連の事件の犯人ではないかと思われていますね」
「・・・・・・そうだとしたら」
役が言葉を発した。肯定の言葉だ。顔に緊張が走る。
「それは誤解です」
「・・・・・・その根拠は。まあ人狼であるかはどうかとして」
本郷が言った。その言葉尻にはあからさまにカレーを疑う色が込められていた。
「旦那様が人狼であるかどうかはともかく」
執事の言葉は大きな意味を含んでいる。それに二人はこの時気付かなかった。
「確かに我がカレー家は代々暗殺を生業としてきた家です。それは否定しません。旦那様も私も多くの人間を闇に葬ってきました」
これは最早既に知っていることだった。執事は言葉を続けた。
「この家にいる者は全員幼い頃より刺客となる訓練を受けております。その中には特殊な暗殺術もあります。ガードマンやメイドに至るまで全てが刺客なのです」
特殊な暗殺術、それに本郷と役は内心感じるところがあったが顔には出さなかった。
「あの殺されたメイドもですか」
「彼女は特に腕の立つ者でした。数多くの困難な仕事を成し遂げ旦那様の信頼を得ていました」
「その腕利きがあそこまで無残に殺されたのですか」
「・・・それには私も驚いています。素手で虎を倒す程の殺人のエキスパートをあそこまで」
「出来るのはそれ以上の腕を持つ者だけですね」
役が言葉を挟んだ。
「そしてそれ程の腕を持つのは貴方達の御当主だけ、ではないですか?」
「まさか。旦那様はその様な方ではありません」
本郷の言葉を表情を変えることなく否定した。
「確かに我がカレー家は古より暗殺を生業としてきました。しかしそれ以外で人を殺めることは決してありません。それは尊厳王に仕えた
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