昔話
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「そういえば、先輩は士官学校のころはどうだったのですか?」
「俺は随分と模範的な学生だったぞ。ヤン先輩たちとは違ってな」
「はいはい。自称自称――」
こんっと頭におかれるアイスティーに、アレスが後ろを振り返った。
優しい表情をした青年が立っている。
アレスは頭におかれたアイスティーを手にして、苦笑した。
「ひどいな、スーン」
「酷いも何も、本当のことでしょう?」
くすくすと笑えば、スーンと呼ばれた学生はアレスの隣に腰を下ろした。
「初めまして。そっちの子は二度目かな、僕はスーン。スーン・スールズカリッター。変な名前だけど、よろしくね」
「よろしくお願いします。私はフレデリカ・グリーンヒル」
「ライナ・フェアラートです」
助かったと紙ナプキンで唇を押さえながら、ライナはそう言えばと対面に座るスーンに問いかけた。
「マクワイルド先輩の学生時代はどうだったのですか」
「だから、模範的な――」
「そうだね。まずとんでもない負けず嫌いかな――アレスの陸戦技能の成績表って知ってる?」
「お、おい!」
「お聞かせください」
「一年の成績は本当にジェットコースターみたいだよ」
「と、いいますと?」
身を乗り出すように問いかけたライナに、止めようとしたアレスを押さえて、スーンは話した。
元々は陸戦技能は一切なかったこと。
それでいて成績は良いため、他の学生からいじめに近い攻撃を受けたこと。
休む間もなく、一時間近くも陸戦試合を挑まれたことなど、ライナとフレデリカですらも眉をひそめて、酷いと言った。
そうなればアレスが止めようとしても、無駄だ。
スーンが持ってきたアイスティをすする。
「でも。アレスはそこで止まらなかった。少しずつ実力をつけていって――最後には二度目の学年大会で、何と準優勝をしたんだよ」
おおと驚きと尊敬の眼差しで見られても、アレスは憮然とした表情だった。
疑問の表情に、息を吐く。
「ジェットコースターっていっただろ。決勝で上腕骨の複雑骨折でしばらく陸戦は見学になった」
その言葉にフレデリカは顔をひきつらせた。
驚くライナの視線に、スーンは苦笑した。
「決勝であたったのがあの、フェーガンでね。普通は適当にあしらって逃げるんだ。それがまともに戦いを挑んで――」
ため息。
「なまじアレスも強いものだから、フェーガンも本気になってね。最後は全力の殴り合い。よく腕だけですんだね?」
「いや、足首も軽く靱帯が損傷してたが。それよりも腕がとんでもないことになってたから、誰も気づかなかった」
「……御愁傷さま」
スーンの言葉に、同意するように二人も頷いた。
「でも、先輩もお強いんですね」
「うん。強くなってからは、フェーガンに
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