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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
昔話
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すか」
「どうぞ」
 差し出されたアレスの手に、静かに礼をいって、フレデリカの隣に腰を下ろす。
 ライナは緊張とともに小さく息を吐きだした。
 そんな様子に、アレスはアイスティーを飲み干す。

 そして。
「友達も来たところだし、俺は先に失礼するよ。ごゆっくり」
「あ……」
 小さく出した声に、フレデリカがライナを見る。
 視線の先は正面……席を立とうとした、アレスの方だ。
 慌てて、フレデリカが咳払いをした。

「まだもう少し話しませんか?」
「いや。でも、邪魔だろ?」
「大丈夫です、ね?」
「ええ!」

「ああ。そう……?」
 頷いたライナに、アレスは浮かせかけていた腰を下ろす。
「さ、先ほどはどんな話をされていたのですか?」
「どんなと言われても、大した話でもないけど」
「そうですか。でも、お二人は楽しそうでした」

「そんな事ないよ」
 慌てて否定してから、フレデリカがしまったと表情を変えた。
 申し訳なさそうにアレスに頭を下げる。
「ご、ごめんなさい、先輩」
「いや、いい」

 謝罪をすれば、アレスは小さく苦笑している。
 本人は本命がいるのに、妙な噂が流されて困るのだろう。
 少なくともアレスと噂になって、良い事など何もないような気がする。
 そんな事を考えれば、飲み干したアイスティーの氷をストローで混ぜた。

 様子に、ライナが気づく。
「今日は紅茶なのですね」
「ん?」
「この前はコーヒーを飲んでらしたので」
「そう言えば、そうですね。というよりも、先輩は食事中は紅茶ですよね」

「ああ。別にコーヒーが好きなわけじゃないからな」
「では、どうしてです?」
「ゲン担ぎのようなものだ。勝った後に苦いものを口にすると生きてるって気がするから」
「よくわかりませんね」

「別にわかって欲しくてやっているわけではないさ」
「しかし、理解しました。マクワイルド先輩には、次の戦いではコーヒーを諦めていただきます」
「ほう、勝つ気なのか?」
「いえ。自動販売機からコーヒーを撤去しようかと」

「それ、ヤン先輩より酷いな!」
「冗談です」
 くすりと笑えば、ライナは湯気の立つトマトパスタにフォークを入れた。
 ゆっくりとして、しかし綺麗にフォークをパスタに巻き込めば、小さく口にした。

 もぐもぐと口を動かせば、集中する視線にライナが気づく。
 すでに食事を取り終えている二人だ。
 必然的に集中した視線に、ライナはトマトパスタを選択したことを後悔した。
 なぜ、シンプルなパスタではなかったのかと。
 口にトマトソースはついていないだろうか。

 心配すれば、顔を隠すように俯き、何とかトマトパスタを嚥下した。
 そこから顔をあげられない。
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