劉禅、桔梗と会談する
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郷を倒して桃香の目を覚まさせる」
「なるほどのう。しかし、勝算はあるのか? お主らだけでは無理ではないか?」
「……だから、蜀内の、北郷に良い感情を持っていないという連中を回っていた。魏に援軍を頼んでも、付け込まれて『漢の再興』は夢の跡になってしまうから」
「だが、駄目だったのだろう?」
「……」
桔梗の指摘に、俺は絶句する。蜀には、腰抜けしか居ないと分かった時の悔しさがこみ上げてきた。
「まあ、そうじゃろうな。北郷配下の『忍び』が各地に散らばり、反抗しそうな者を見張らせているからな。下手すれば打ち首じゃて。現にワシも見張られておるしのう」
ここで桔梗は聞き捨てならないことを言った。それを聞いていた普浄は慌て、桔梗に言う。
「厳顔殿。それはかなり拙いんじゃないですか?」
「そうじゃの。お主らを保護した事、もう既にお館に知られていような」
桔梗は、大したことではないと言う様に、ぐいっと杯を傾ける。
「……そして、今俺らが話してることも、探っているだろうな」
俺はそう言うと、いきなり剣を抜き、天井に投げつけた。しばらくして、その剣を伝って血が流れ落ちてくる。軽く飛んで剣を天井から引き抜くと、血を拭って鞘に収めた。
普浄は驚いて声も出ない。しかし、桔梗は顔色一つ変えなかった。いや、既に顔色は酒で赤くなっていたが。
「ほう、気配を探れるようになったか。腕をあげたのう」
桔梗は感心するように俺を見る。
「……師の教え方が良かったから」
一度桔梗の元を去ってからも、稽古は欠かしていなかった。俺は、少しずつではあるが、以前よりも感覚が鋭くなってきているのを感じている。
「それはさて置き、実はワシもここのところ危なくなってきているのじゃ」
桔梗は何事も無かったかのように話を続ける。
「ワシは、お館が以前と変わってきている感じがしたのでな。ちょっと探りをいれておったのじゃ」
ここで一旦話を切り、桔梗はため息を吐く。
「焔耶を成都に向かわせたのじゃが、連絡が途絶えてしまってのう。おそらくお館の手の者に捕まったのじゃろう」
「北郷が以前と変わってる、だと?」
言われてみれば納得できる部分がある。元々いけ好かない男だが、もう少しましな男だった記憶は俺にもある。でなければ、俺が蜀建国まで協力する訳が無い。
「そこでお主に話があるのじゃ。焔耶を救うのを、手伝ってはくれんか? 焔耶は乱暴者じゃが、ワシにとって大切な弟子。お主にとっても気心の知れた姉弟子であろう」
確かに、焔耶は姉弟子であり、俺に良くしてくれた人だ。世話になった桔梗の頼みである以上、俺に断るという選択肢はない。
それに、焔耶は北郷を嫌っていた。上手くいけば、味方になってくれるかもしれない。そのような打算も俺には有った。
「……わかりました。俺に
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