11話 林道 五也side
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「(ヤバいヤバいっすよ!)」
「(早くなんとかしないと昨日と同じ目に合いかねんな…………)」
現在俺と武藤は窮地に立たされている。
相手は強力だ、回避不能、防御貫通効果付き、打開策を打ち出さなければ昨日の二の舞だ。
「五也くん、大輝くんどうしたの?」
「い、いや、なんでもない」
「そそそそ、そうっす、なんでにゃいっす」
どもりまくっている上に噛んでいる武藤の言葉に騙されるやつはいないだろう。
「そうなんだ。あ、もしかして喉が乾いちゃった?」
バカがい、もとい素直すぎる子供がいる。
正直なのはの将来が不安になった。
「いや、大丈夫だ。別に喉は乾いてない」
「あ、そうなんだ。じゃあ」
なのはから自然な動作で差し出されたのは、クマのぬいぐるみだった。
それを自然と武藤は受け取った。受け取ってしまった。
「え、えと? なのは? これって一体なんすか?」
往生際悪く武藤がかまととぶる。
「ぬいぐるみだよ?」
「それはわかるんすけど、なんでこれを渡されたのかなーって」
「うん、あのね昨日はおままごとをしたから、今日はぬいぐるみで遊ぼうと思ったんだ」
「クハッ」
あまりに予想通りの返答に、思わず天を仰いだ。
仕方のないことなのかもしれない、なのははまだまだ子供で、恐らく同年代の男子と遊ぶのは初めてなのだろう。
だからこそどうしても、遊びの内容が少女趣味全開になってしまうのだ。
「(やっべぇええええ! 詰んだぁあああ!)」
「(ああ……、昨日の悪夢が………)」
この年代でおままごと、冗談抜きに死ぬかと思った。
というかむしろ死んだ。途中から完全に記憶が飛んでいる。
「なのは、居るか?」
「あ、おにいちゃん」
早くも意識を成層圏の彼方へ飛ばし始めたタイミングで、シスコンが登場した。
差し入れのつもりか、手に持った盆には人数分のケーキと紅茶が乗せられている。
「仲良く遊んでるか?」
「うん! 今からみんなでぬいぐるみで遊ぶの!」
「そ、そうなのか」
シスコンがチラリと視線をこちらに向ける。
「(救援要請救援要請!)」
「(トランプもしくはボードゲーム!)」
なのはには見えない角度で、必死に口パクでシスコンへ意思疏通を図る。
「……………なのは、もしよかったら俺も加わってもいいか?」
「「……………!?」」
何を言っているんだこのシスコンは!? その年になってぬいぐるみ遊びとやらに参加するつもりか!?
あまりのシスコン度の高さに戦慄する。
「(なに考えてんすかあのシスコン!?)」
「(いや、なのはが許可しなければ…
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ