第二章その六
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第二章その六
“今も黙々と自分の執務室で事務をkなしています。屋敷中を隈なく捜されているというのにね”
“それはそれで大した度胸ですね。まだ屋敷の中に化け物が潜んでいるかも知れないというのに”
“そう、それです。使用人の中には激しく取り乱している者もおります。屋敷の警備に絶対の信頼があったからなのでしょう。ガードマンの中にも疑心暗鬼に陥っている者もおります”
“しかし当主だけはいつもと変わらずですか。まるでそこら辺で上演している怪奇映画みたいですね”
“まあ落ち着かれて。カレー氏に関してはこれから捜査を始めていきます。今のところ捜査への妨害も無いですし何か不審な点があれば必ずその証拠を掴んでみせます”
“彼への捜査は我々に任せてくれませんか?”
役が書いてみせた。
“貴方達が!?”
署長は思わず声をあげそうになるがふと止めた。そしてさらさらと紙にその言いかけた言葉を書いた。
“はい。我々が彼の捜査を行う分貴方方はこの屋敷への捜査に人と時間を割けます。その方が効率がいいです”
“しかしお二人はカレー氏に何かとマークされていませんか?ここに来た事も最初から知っていたようですし”
“だからこそです。マークされているからこそ捜査しやすいのです”
“どういうことですか?”
流石に署長も首を傾げた。
“彼が我々をマークしているとどうしても我々に目がいきます。そうすれば必要以上に動きが過敏になります。それにより普段とは異なったことをするようになります。我々はその異なった動きを逆にマークしていくのです”
“相手を逆に心理的に追い詰めていくのですな。犯人捜査の手段の一つですな”
“その通りです。あの男は見た目よりかなり図太いようですがいずれ必ず尻尾を出します。その尻尾を握るのです”
“尻尾ですか。手強い狐ですよ”
“それはわかっています。それに署長”
“はい”
“化けた狐を捕まえるのは我が国では童話によく書かれていますよ”
「ふっ、ふふふふふふ」
それを読んで署長も警部達も思わず含み笑いを漏らしてしまった。
かくして本郷と役の二人はカレーの捜査にあたることとなった。本郷が表立って動き役はそれをフォローすると共に陰の面から捜査することになった。
「なんか経歴とかは簡単にわかっちゃいましたね」
「仮にも企業を経営しているせいだろうね。この地にカレー家の長男として生まれ」
「パリの方の大学へ入学。優秀な成績で卒業後父の経営する葡萄酒の製造及び販売を取り扱う『カレーカンパニー』に入社、将来の後継者として経営学を学ぶ」
「父の死後会社を継ぎ社長兼会長に就任。以後会社の運営に努力する」
「経営者としては有能みたいですね。会社は大幅な黒字経営で事業も拡大させていますよ」
「どうやらかなりのやりてだね」
「元々先
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