10話 一条 京介side
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ザッと見ても、子供2人分には思えない量の物資が書かれていた。
「しゃあないやん、もう冷蔵庫の中からっぽなんやから」
「重大なお知らせってそれかあ」
確かに食料がないのは大問題だ。
「しっかし、もうちょっと早く言ってもよかったんじゃない?」
「それはそうやけど、外がまだあんな調子やから」
「あんな調子ね」
2人で窓際に近づき、昼だというのに締め切られたカーテンを、ほんの少し左右に開く。
そしてすぐに、わずかな隙間を閉じる。
「あ〜、照り返しで目が痛い」
「一面銀色やからね」
別に一足も二足も早い雪景色があったわけではない。
「あの銀髪時々金髪ども、なんとかなんないかな」
「最初から見たら結構減っとるんやない?」
「俺はそんな比較じゃなくて、全部消えて欲しいね」
「過激やなあ」
過激にもなるさ、と心の中で呟く。
金銀髪の奴等は間違いなく転生者だろう。
何を探しているのかは知らないが、見るからに欲望でギラついた瞳からは、ろくな未来が想像できない。
「出前でもとって、もうちょい粘らない?」
「栄養片寄りそうやね」
もっともである。冷蔵庫が空っぽということは、3食全てが出前というのは成長期には喜ばしくないことだろう。
諦めて行くしかないのかだろうか。
「でもさあ、これはいくらなんでも多いって」
「うーん…………、できれば1回で済ませた方がいいと思ったんやけど」
「持ち運べない量じゃ、意味ないって」
「それもそうやね、書き直すからちょっと待っとって」
そう言って八神はテーブルの方を向くと、ペンを手に取りメモを書き直し始める。
その後ろ姿を見ながら、考えを巡らせる。
内容はこのあとのお使い。
字面だけ見れば、なんとも平和なものだ。
(外に転生者どもがいなければだけどね)
一時期ではあったが、街を埋め尽くすほどの転生者がいたのだ。無論なにも起きないはずがない。
八神には知らせないように、なおかつ危機感を抱かせる程度に情報を操作しているが、外は悲惨なものだ。
1人で見たニュースから得た情報では、連日原因不明の死者が出てるとか。
そしてそのいくつもがアニメやゲームで見覚えがあるものばかりだった。
(過ぎた力は人を簡単に狂わせるもんだからねえ)
前世でも、体が大きいから、年齢が上だから、そんな馬鹿な理由で暴力に酔いしれる者は珍しくなかった。
そんな連中がさらに強大な力を手に入れたらどうなるかなど、火を見るよりも明らかだ。
「よし、書けた」
「んあ? 八神終わった?」
思考を途中で切り上げ、ソファに寝そべったまま八神の肩に顎をのせて
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