9話 黒木 七実side
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けど、無いこともないかと」
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馬鹿馬鹿しい、正直に今の僕の心情を表すとしたらそれが一番合っている。
眼下では僕がギリギリ『生きている』というのは語弊があるかもしれないが、まだ動いているが体のほぼ全体を凍らせてあるゾンビ、そしてそれと相対するクロキの姿がある。
「始めていいですか?」
そう言うクロキには全く緊張感や気負う感じはなく、目の前に半ば腐敗しているゾンビが目の前にいるというのに動じた様子はない。
図太いのかバカなのか。
「ええ、いつでもどうぞ」
「んじゃま、いっちょ行きますかねえ」
相変わらず気楽そうに軽く肩を回した後腕に貼られた髑髏を模したステッカーを指でなぞるのが見えた。
あいつがとった行動はそれだけだった。
だというのに気づけば、そのステッカーの貼られた方の手の中にしっかりと身長の二倍はあるであろう大剣が握られていたのだ。
「なっ……!」
思わず絶句してしまう、だがそれは瞬きの間にデバイスを展開した事に対してでなければ、その長大な武器を調子を確かめるように、まるで玩具でも扱うかのように軽々と振るうその姿にでもない。
それはその武器のあまりの異様さにだった。
肉厚にして幅広な簡単な装飾の入った黒の両刃の刀身、そこまでは一応は普通の大剣だった。
だが逆に言えば普通だったのはそこまでだ、柄はその刀身とは正反対に白い、いやそれは柄と言っていいのか……、それは明らかに人の背骨でできている。
そして最も目を引くのはその柄と刀身のつなぎ目、そこに取り付けられた人の頭蓋骨だった、それはちょうど刀身のつなぎ目が口の中へと繋がっているのが見える。
とてもじゃないがデバイスには見えない禍々しさだった、むしろロストロギアと言われた方が信じやすいだろう。
「んじゃ、ちゃっちゃと終わらせますか」
相変わらず気楽な様子のクロキがそう言った後何故かすぐに切りかかりはしないで、手元で柄を捻り、呟いた声が聞こえた。
「ネクロ、飯の時間だ」
まるでその言葉に呼応するように落ち窪んだ眼孔に赤い光が宿り、頭蓋骨の口から粘性の高そうな液体が零れ刀身を濡らしていく。
「おいおいもう涎かよ」
そう、それはまさに涎だった。
まるで飢餓感に耐えきれないとでも言わんばかりな、目の前の獲物を切り裂くのを貪欲に今や遅しと待ちわびているように見える。
クロキはそれを特に気にせず特に前振りもかけ声もなく、無造作に大剣を横なぎに振るう。
子供の腕力で振るわれたとは思えない速度の大剣は易々と、その身を覆う氷ごとゾンビを紙でも切り裂くかのように切り抜いた。
だが、それだけではゾンビを倒すことができない。
相手は腕だけになっても動いてくるような相
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