第二章その五
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ていたんですね」
「うん。ちょっと一服にね」
役が答える。しかしカップもお茶菓子も出されてはいない。その替わりにテーブルには数本の鉛筆と紙が置かれていた。
「・・・成程ね」
「本郷君も警部も一服してはどうですか?つもる話もあるでしょうし」
署長が悪戯っぽく笑って席を用意した。二人はそれに従い席に着いた。
“何かわかったことはありますか?”
署長がさらさらと紙に書いた。
“特にこれといって。そちらはどうでしょう?”
本郷が書いた。
“被害者のメイドの身元がわかりました”
巡査長が書いた。皆それぞれ紙に書いていく。
“名前はナタリー=エリータス。代々カレー家に仕えているメイドでした”
“代々ですか?それは以外ですね”
“彼女だけではありません。この家の使用人は皆先祖から代々カレー家に仕えている者達ばかりです”
“秘密を守るにはその方が都合がよいですからね。それではカレー氏とも古くからの顔馴染みですね”
“はい。歳は十程離れていますが幼い頃よりカレー氏の側にいたそうです。カレー氏が遊び相手になって共に遊んだことも多かったそうです”
“そして長じてメイドとして仕えたと”
“この家の者は全員その様ですけどね”
“主従というより家族、兄と妹みたいな関係だったようです”
“兄と妹ですか。どれ程仲は良かった訳ですか”
“この家の者は全員その様ですが。性格も明るく誰からも好かれる娘だったようです。殺されたと聞いてショックを隠せない者も多いです”
“そうなのですか。カレー氏はどうしていますか?”
“表情や行動からは全く読み取れません。特に変わった点は無いようです”
“妹みたいな存在が食い殺されたのにですか。どうやら本当に冷血な人物のようですね”
書いている本郷の顔に朱がさした。
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