第二章その四
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ったのは首が無かった点だった。
「首が無いが・・・何処だ!?」
ふと見回す。ベランダの手摺りの上に首はあった。白いメイドの帽子を被り赤毛の髪をポニーテールにまとめたそばかすの可愛い少女だった。緑の眼が愛くるしい。生きていたならば。
その緑には光は無く虚ろに空を見ていた。顔は自身の鮮血に濡れそれが乾いている為グロテスクな模様の様になっている。髪にまで血が付いている。ベランダには血が滴り落ちた後がある。空虚に開いた口は無念そうに最早動かなくなった舌を覗かせている。
「今度は首を切ったのか。相変わらずやり方がえげつない奴だ」
「いや、引き千切ったのかも知れないぞ。この血の飛び散り様は尋常ではない」
役も入ってきた。その顔は能面の様に白くなっている。
「人の首を引き千切ったのですか。とんでもない怪力ですね」
「そしてその首をわざわざ我々に見せ付ける為にベランダの上に置いた。青髭は首でコンテストをやったそうだがこの人狼は自分が見るのではなく見せ付けるのが好きらしいな」
青髭とは百年戦争の頃の貴族である。かってはジャンヌ=ダルクと共に戦った優秀な武人であったが錬金術と同性愛に溺れ美しい少年達を捕らえ次々と嬲り殺しにした狂気の人物である。
「だからいつも無残なふうにしてるんですか。下衆が」
本郷が憤怒の顔で吐き捨てた。
「奴にとってはこれが芸術なのだろう。殺人と食事、陵辱というな」
「しかも俺達を挑発する様に。胸糞悪い奴だ」
その時部屋の扉が開かれる音がした。
「執事さんですか?」
しかし執事は部屋の中にいた。署長や警部達もである。急に室温が下がった気がした。
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