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魔狼の咆哮
第一章その一
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の村の犠牲者の一人です」
 署長は険しい表情を崩さず言った。
「一人、ですか」
 役が苦虫を噛み潰した様な顔で言葉を搾り出した。
「・・・・・・はい。残念ながら」
 更に数枚の写真が出される。先程の少女の写真と同じく食い荒らされ陵辱されたものである。そのどれもが美しい少女かうら若い乙女のものである。
「この一月の間にこのジェヴォダンで起こった事件です。既に十人が犠牲になりました」
「十人・・・・・・」
 本郷が唇を噛み締める。
「そのどれもが喰われ陵辱されています。それも遺体を見る限りゆっくりと時間をかけて」
「喰われ・・・陵辱・・・・・・」
 二人は首を傾げた。
「そうです。食らったのは遺体に残る歯や爪の跡から狼であると断定されています」
「そして犯したのは遺体に付着した汗や精液のDNA鑑定から人間でした」
 デッセイ警部が答えた。
「人間、ね」
 本郷が眉をしかめた。
「それは解りました。しかし問題なのは」
 役が話し始めた。
「狼です。童話や伝承と違い狼は滅多に人は襲いません。相当空腹でもない限り。それにヨーロッパの野生の狼はかえって保護されるべき存在、餌が不足するでしょうか。そしてこの写真は狼のものとは絶対に思えない点があります」
「首、ですね」
 アラーニャ巡査長が答えた。

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