TURN98 サイボーグ外相その六
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「宇垣さん、まさか」
「外相の艦隊が港の前に向かっているぞ!」
「まさか!」
それを見て言うのだ。
「御自身の艦隊を楯に!?」
「そうして港を」
「そんな、まさか」
パルプナはその話を聞いて驚きの顔を見せた。
「自分が楯になって皆を」
「外相はそうした方だ」
「だからこそ」
「そんな人がいるの」
パルプナにとっては衝撃的だった、これまで酷い目に遭ってきた彼女にとっては。
それで困惑した顔になっていた、だが宇垣は。
己の艦隊を率いてそのうえで港の前に来た、そうして。
潜水艦艦隊に次々に攻撃を浴びせる、そのうえで倒していく。
だが数が多い、それでだった。
ソビエト軍の攻撃も受けた、鉄鋼弾の一撃が。
宇垣の乗艦である戦艦金剛を直撃した、金剛は大きく揺れた。
「金剛被弾!」
「航行を停止しました!」
「火災が次々と起こっています!」
「このままでは!」
「外相、ご無事ですか!」
だが返答はない、艦橋は殆どの者が無事だった。
しかし宇垣はたまたま飛んで来た破片の直撃を受けて吹き飛ばされていた、壁にその背中をしたたかに打って意識を失っていた。
全身から血を流している、その彼を見て誰もが言った。
「駄目だ、手遅れだ」
「外相、そんな・・・・・・」
「えっ、宇垣さんが」
彼等の言葉は不覚だったが港にも届いていた、それでだった。
パルプナは顔を曇らせて叫んだ。
「宇垣さん!」
「!?パルプナ嬢一体」
「どうしたんだい!?」
「宇垣さんは私達を守ってくれた!」
そのことが今伝わったのだ。
「それで死んだのなら、私が!」
「!?パルプナ嬢!」
「まさか!」
「皆来て!」
港の波止場に向かって駆けながら叫ぶ。
「宇垣さんに代わって!」
こう叫んでだった、宇宙怪獣達を呼び集め出撃した。
そのうえで残っていた潜水艦艦隊に向かう、そのうえで。
潜水艦艦隊に攻撃を浴びせた。既に宇垣の艦隊に足を止められ数を減らされていた彼等に為す術もなかった。
宇宙怪獣達の一斉攻撃で致命的なダメージを受けた、それを見て。
ジューコフは沈着だがその隻眼に無念の目を見せて語った。
「作戦は全て失敗した」
「ではここは」
「撤退しかない」
こうゲーペに語る。
「シベリアまで下がろう」
「それしかありませんか」
「懲罰は受ける」
カテーリンからのそれをだというのだ。
「そのことを覚悟してだ」
「再び戦力を整えてですね」
「敵の艦隊を一つ全滅させただけでよしとしよう」
宇垣の艦隊をである。
「例えシベリアに敵が攻めて来てもだ」
「では」
「最後に勝つのは我々だ」
ジューコフは己が後詰になり撤退した、第二次満州攻防戦は再び枢軸軍の勝利に終わった、
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