序章 出会い
第1話 旅立ち
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って今日はもう寝なさい。」
シ「う・・うん・・・」
・・・母さんは寂しくないのか?
18年間、育ててきた我が子が1人旅立つの事を、何とも思わないのか?しかも、その後は母さん1人暮らしなんだぞ?
俺は男だが、正直言って寂しい。
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次の日の朝、俺の布団の横には昨日よりもパンパンに膨らんだ青い革製のリュックサックが置いてあった。中を見てみようと開けようとしたが、止めた。母さんが用意した荷物を開けたら、中から詰め込んだ物が雪崩のように飛び出して仕舞うのが後々大変だという事を思い出したからだ。
布団から起き上がると、寝巻き代わりの灰色のTシャツとベージュのハーフパンツを脱ぎ捨て、リュックサックの隣に置かれていた、真新しい白いTシャツに黒いベストを羽織り、深緑色のハーフパンツを穿く。最後に左手首にいつも肌身離さず身に着けている緑と赤茶色の石のブレスレットがあるかどうか確かめる。
このブレスレットは俺のある“能力”を抑える為の物で、父さんの形見でもあるんだ。
台所に行くと、母さんが大きなおにぎりを握っていた。既に5つも出来上がっているというのに、まだ作る気か・・・?
母「おはようシン。いよいよだね。」
シ「う、うん・・・」
母さんは鼻歌を歌いながら6つ目のおにぎりを握り始めた。
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俺は木製の靴箱から青と白のスニーカーを取り出す。以前母さんが、俺がいつ旅に出てもいいようにと買っておいた靴だ。新品のスニーカーに足を入れ、靴紐をしっかり結ぶ。
母「体には十分気をつけるんだよ。」
シ「それはお互い様だろ。」
俺は母さんからリュックサックを受け取ると背中に背負う。
母「それと・・・」
母さんは俺の左手首からそっと緑と赤茶色の石のブレスレットを外す。すると―――――
ボワワワワワァン。
俺の体が白い煙に包まれた。煙が晴れると、そこには俺ではなく・・・いや、俺なんだが、人間の姿ではなく、鼠の姿の俺が、自分の体よりもでかいリュックサックの上にいた。
そう、俺は“子”の血が流れている為、鼠に姿を変える事が出来るんだ。
このブレスレットは、その“能力”を抑える為、代々バンギ家に受け継がれている物なんだ。俺が鼠に姿を変える事が出来るのを知っているのは母さんだけ。リンド
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