序章 出会い
第1話 旅立ち
[2/5]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うやく風呂を沸かし終えた俺は服の袖で汗を拭い、右肩を大きくぐるぐると回しながら家に戻ると、小さな木製のテーブルには2人前の夕飯が並んでいた。献立は、ふっくら炊き上がった真っ白なご飯と、昨日俺が買って来た牛肉と、畑で俺と母さんが一生懸命育てたキャベツの炒め物と、今日俺が買って来たあさりの味噌汁だ。グゥ〜と、俺の腹の虫がまた唸る。
母「お疲れシン。さぁ、ご飯にしようか。」
シ「おぅ!」
俺は短く返事をすると、3秒ルールのようにものすごい速さで夕飯が乗った木製のテーブルを挟んで、母さんの向かい側に正座をした。
シ「いただきまぁ〜すっ!」
手を合わせて食事前の挨拶をすると、ふっくら炊き上がったご飯と、牛肉とキャベツの炒め物を頬張る。
シ「ふぁあしゃん、ふはい。」
母「はいはい。口に食べ物を入れたまましゃべったらお行儀が悪いよ。」
シ「ふぁ〜ひ。」
さて、かなり遅くなったがここで自己紹介をしよう。
俺の名前はシン・バンギ。ここ、リンドウ村に母さんと二人で暮らしている18歳の男だ。母さんの名前はリャナ・バンギ。51歳の主婦だ。えっ?父さんはいないのかって?実は、俺の父さんは、俺がまだ母さんのお腹の中にいる時に事故で死んだらしい。リンドウ村のナズナ山に筍を採りに行った時、過って崖から転落したんだってさ。だから、俺は父さんの顔も知らないまま、この村で18年間生きてきたんだ。母さんはそんな俺を、女手一つで18年間も育ててくれたんだ。感謝感謝だぜ。
家は貧しいけど、食べるものなら十分ある。だから、そんなに苦しい生活ではない。ただ、さっきみたいに他の街まで6時間や10時間もかかったり、井戸まで1kmも歩かなければならない。これが一番の悩みの種だ。でも俺は幼い頃からこういう生活を送ってきたからもう慣れっこなんだ。昔から心配性の母さんは未だに心配してるけど。俺的には、もう50歳を超えた母さんの方が心配なんだけどな・・・
ここまでの説明を簡単にまとめて言うと、俺は18歳のちょっと苦しい生活で育った男って訳だ。
んで、この物語の作者である紺碧の海によると、俺はどうやらこの物語の主人公らしい。自覚ねェんだけどな。
俺の茶碗に盛られたご飯が無くなったのと同時に、母さんがテーブルに箸を置いた。まだ母さんの茶碗にはふっくら炊き上がったご飯が残っていた。
シ「どうしたんだ母さん?具合でも悪いのか?」
母さんは首を左右に振る。
・・・という事は、またアレだな。俺はわざとらしく「はぁー」と大きなため息をついた。
シ「母さん、いつも言ってるだろ。“トップを目指す”のはまだ先でいいって。」
母「シン、お前はもう18歳なんだ。そろそ
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ