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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五三幕 「ISの可能性」
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ータは異常と言っていいほど“掌”の構造や素材が違っていた。その柔軟性と繊細な人体模倣度、そして操縦者自身にそれを扱える技量があれば、それは不可能から曲芸レベルに落とすことが出来る。人間の手と言うのはどんな精密センサーよりも敏感な感覚機能を有しているが故、“そこ”に拘った風花の掌はその動きを可能とした。そしてユウは成功を引き当てるそれが出来た。ただ、それだけのことだ。


そして同じ方向に投げ飛ばされ空中で衝突したままきりもみになった二人は、目を回しながらもなんとか立ち上がり―――

「「えっ?」」

またしても二人同時に間抜けな声を上げ、そしてそのまま正面から飛来した閃光に呑み込まれた。少し遅れて、大気を揺るがす轟音が耳を襲うが、もはやその頃には二人の意識は飛ぶ寸前であった。

2人は知る由もなかったが、その閃光は甲龍の衝撃砲による空間圧縮レンズと風花の粒子砲“鳴動”のフルチャージを重ね合わせた合体攻撃。簪のデータをもとに二人が作り上げたコンビネーションの一つ、『龍鳴鼓咆(りゅうめいこほう)』。レンズによる粒子砲の収束率と龍咆の衝撃の指向方向を再計算し直したことにより、その威力は高々2機の訓練機のシールドエネルギーを削りきるには十分な威力を発揮し、一撃のもとに敵を打ち払った。

意識の擦れ行く二人が最後に見たのは、既に勝負は終わったと言わんばかりに背を向ける対戦相手の背中だった。その背中はまるで「この勝利は当然の結果だ」というように、話をすることさえ時間の無駄だというかのようで。早すぎる。呆気なさすぎる。もっと何か出来なかったのか。本当にこのまま終わってしまうのか。

(ああ、なんだろうこれ。何だか・・・すっごく悔しいよ・・・!!)

この日、谷本癒子はISに乗って初めて本気の“悔しさ”を思い知った。



《・・・た、谷本・万ペア、戦闘続行不可能!よってこの試合、残間・凰ペアの勝利!!》


会場がざわめく。余りにも早すぎる決着、試合の勝敗は分かり切っていたが、誰がこれほどに圧倒的な差を見せつけると予測しただろうか。あまりの内容にアナウンスの声も若干上擦っていた。

やがて、会場の人々はようやく何が起きたのかを理解し、ざわめきは驚愕と熱狂へと変わる。


《《ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!》》


「10秒いらなかったね」
「それだけアタシ達が絶好調ってことよ」

かつん、とISの拳同士をぶつけ合わせた二人の背中には、次の試合が始まるまでいつまでも声援が鳴り止まなかった。試合時間、5秒92。―――この日、IS同士によるタッグマッチの試合決着時間最短記録が塗り替えられた。

また、この日より第三世代兵器の全く違った方面からの活用方法を研究
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