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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五三幕 「ISの可能性」
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ついでにシャルさんを倒すために、だね!」

2人は同時に肩らると空アリーナ内に飛び、静かに試合開始時間を待った。







試合開始間近、既にISの装着を済ませた二人の女生徒の一人、谷本癒子(たにもとゆこ)は自身の相方に苦笑するしかなかった。

「ぜーったいにあいつには負けないんだからー!!」
「あ、あははは・・・」

鈴を睨みつけながらめらめらと対抗心を燃やし歯ぎしりをする少女。名前を(ワン)春々(チュンチュン)という。クラスメイトからはあだ名で「はるる」と呼ばれている彼女が対抗意識を燃やすのが、中国代表候補生の凰鈴音である。
別に鈴にひどい仕打ちを受けたわけではない。ただ、彼女も代表候補生を狙う人間の一人であり、その座を惜しい所で鈴に掠め取られた一人だというだけだ。だが思春期で自尊心も人並み以上に大きい彼女は未だに鈴に代表候補生の座を取られたことを根に持っているようで・・・ぶっちゃけた話が逆恨みである。

(相手はユウ君に鈴さん、両方専用機持ちとは私もついてないなぁ・・・)

何をどう考え直しても勝てる要素が見当たらない組み合わせに思わずため息が出る。鈴の方は良く知らないがユウの強さはクラス中のみんなが知っている。クラス代表決定戦の戦いは筆舌に尽くしがたいほど荒々しいものだった。あの拳を避けられるかと言われれば《いいえ》以外の答えが出てこないのが素直な感想だ。
そんな訳で癒子は鈴を全力で睥睨(へいげい)する春々ほどのやる気を出せずにいた。


―――だからといってあれは無かった、と彼女は後に後悔することになる。


《3・・・2・・・1・・・試合開始!!》

(ゴウ)ッ!!

「「へ?」」

アナウンスと同時に動こうとした癒子と春々は、その光景に間抜けな声を上げた。

先ほどまで十数メートル先にいたユウの風花が既に目の前にいたからだ。

「貰ったぁ!!」

「え!?きゃぁぁぁぁぁぁ!!?」
「何よそ・・・れぇぇぇぇぇぇぇ!?」

噴射加速。バーナーを吹かしたその瞬間から最高加速が始まる規格外の超加速機能。瞬間速度も平均速度も瞬時加速を上回るその加速を初見で見切ることなど、平和な日本のそれなりに普通な家庭で育った癒子には無理な話だった。そしてそれは春々も同じだったらしく、2人は加速中の風花に体を掴まれ、その爆発的な加速の勢いのまま後方に投げ出された。

普通のISなら瞬時加速中に相手を掴み取るなどありえない。
いくらISが人を模しているとはいえ、そのマニュピレータは人間の掌ほどの鋭敏さと柔軟さを得てはいない。まして瞬時加速よりさらに加速した状態でバランスを崩さず正確に2機のISを掴むなど、曲芸を通り越して不可能に近かった。
しかし、あいにく風花のマニュピレ
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