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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
役者は踊る
第五三幕 「ISの可能性」
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で少々派手に立ち回りすぎたかな、と佐藤さんは自分の立ち振る舞いに軽く後悔していた。そもそも彼女は一度やると決まったらなかなか手を抜けない性分なのだ。今回の徹底した情報収集や一夏に仕込ませた小細工を見ればそれも納得できるだろう。
そろそろ本当にどこかの企業のテストパイロットになるべきか、と見る人から見れば非常に贅沢な悩みを抱えた佐藤さんの気を知らない周囲はピットにある大型モニターにその目線を向けていた。
「それよりも始まるぞ。良く見ておけ、一夏」
「おうよ、ユウの新技とやら、この目で確かめさせてもらおうじゃないか!」
「まぁ相手は二人とも大した腕ではないから新技とやらを出す機会もないだろうがな」
「おぉう、辛辣だねラウラちゃん」
「ISをファッション感覚でやっている小娘に負けるようではあの二人の器量が知れるというものだ」
・・・やはり軍人として潜在的にそういう意識は持っているのか、と心にメモを書きつつ、佐藤さんもモニターを見つめる。
〜
「・・・・・・」
「鈴」
「分かってる。試合に持ち込むほどの事じゃないから大丈夫」
「ならいいさ」
先ほど一夏の試合が行われている途中、突然鈴が難しい顔をして黙り込んだ。本人曰く嫌な予感がしたが、すぐになくなったのだという。いったい彼女が何を感じ取っていたのかは分からないが、本人が試合に持ち込まないと言ったからにはそうなのだろう。そういう風に信じられる程度にユウと鈴の付き合いは長い。
「ねぇ、ユウ」
「何だい、鈴?」
「やっぱり簪、なんかおかしかったよね」
「ああ、それは疑いようがないね」
試合開始直前となり、カタパルトへ向かいながらも会話は続く。互いに顔も合わせないが、互いにしっかり言葉に耳を傾けている。ただ体が臨戦態勢に入っているから顔を合わせるという動作を必要ないと感じているのだ。
「心ここに非ず・・・いや、違うな」
「うん。簪の中に誰か違う人の思惑が入り込んで、勝手に体を動かしてるみたいだった」
2人はシャルが簪に行なったきわめて非現実的な洗脳については知らない。だが二人の勘が、簪がおかしい事を確信していた。
アリーナに向かう途中偶然すれ違った簪はこちらに挨拶し、互いに頑張ろうと言ってそのまま去っていった。その態度も言葉も不自然ではないはずなのに、そこから抑えがたい違和感が噴出していた。細かく指摘すればおかしい所はある。この3日間碌に連絡もしなかったことや“新技”についてなど。だが二人が感じた違和感はそういうロジカルな思想から導き出されたものではない、もっと根本的な・・・人物と人格の齟齬だった。
「だからさ、アタシ達はこんな所でうかうかしてらんない。10秒でケリをつけるわよ!」
「一刻も早く簪ちゃんの目を覚まし、
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