第四章
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第四章
「そうですか。警察の方から」
「はい」
まずは住職に挨拶をした。穏やかな雰囲気の身なりのいい僧侶であった。流石に観光客で賑わっている寺の責任者だけはあり落ち着いた外見であった。
「頼まれまして。すぐに捜査をしたいのですが」
「捜査といいましてももう私共の知ってることは皆お話しましたよ」
住職は困った顔をしてこう述べた。
「何もかも。事件があったのは」
「はい」
住職と二人は寺の中を歩きながら話をしている。そして問題の場所へ向かっていた。
「そこの池で。これは御存知ですよね」
そして庭に辿り着いた。住職はその池を指差した。
「娘さんの首が。浮かんでいたんですよ」
「髪の毛ごとですよね」
「はい」
本郷の問いに答える。
「綺麗な娘さんでしたけど。勿体無い」
「全くです」
本郷は本当に残念そうに答えた。
「どうせなら俺が遊びたかったのに」
「おい本郷君」
役がここで言った。
「女子高生との交際は最近何かと五月蝿いぞ」
「そうなんですか」
「下手をしたらしょっぴかれる。注意しておくように」
「高校生の時はそうじゃなかったのにな」
「中学生が中学生と付き合っても、高校生が高校生と付き合っても誰も何も言わない」
言うのは学校の教師と親位である。
「大人が大人と付き合っても誰も文句は言わない。そちらにしたらどうかな」
「そっちもいいですけれどね」
「じゃあそれに専念し給え」
「可愛い娘ちゃんがいれば声をかけるのが男ってもんでしょ?」
「生憎私はあまりそういうことはしないがな」
「まあそういうもんです。それがねえ」
「あの」
住職は話をする二人におずおずと声をかけてきた。
「はい」
「それで捜査のことですけれど」
「そうそう。それでですね」
「はい」
「首からは。血が一滴もなかったんですよね」
「左様です」
「そして鋭い刃で切られてて」
「それも捜査でおわかりだと思いますが」
「そうですよね」
「もう一つ御聞きしたいことがあるのですが」
本郷がありきたりな質問を終えると役がかわりに質問してきた。
「何でしょうか」
「その首は。どうやって持ち込まれたと思いますか?」
「どうやって、ですか」
「はい。持ち込むにはそれなりの方法が必要ですが」
この寺は壁によって囲まれている。よって中に侵入するには門を潜るか壁を越えるしかないのだ。
「それはわからないと警察は言っておられたと思いますが」
「ええ、それは承知です」
役は述べた。
「ですが。絶対に何かをしてここに入った筈です。そうでなければおかしい」
「私がそれを知っているとでも仰るのですか?」
「警察に言えない何かを」
役はここでこう住職に言った。
「感じているのではないでしょ
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