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京に舞う鬼
第四章
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うか」
「貴方達は普通の警察の協力者ではないですね」
「いえ、只の探偵ですよ」
 本郷は住職の言葉に笑って言葉を返した。
「そうでしょうか」
「ええ。それが何か?」
「いやね」
 住職は流石に二人から何かを感じていた。伊達に住職を務めているわけではないようである。二人を交互に見ながら言うのであった。
「何か感じるのですよ、いや失礼な言葉だとは存じていますが」
「何か、ですか」
「はい。決して悪いものではないですが」
「まあ俺は結構悪いかも知れませんがね」
 本郷は笑ってそれに合わせてきた。
「こんな性質ですから」
「いえ、私はそうは思いません」
「ふむ」
「お二人はおそらく普通の方々ではないですね」
「さて」
 役もとぼけてきた。
「少なくとも今回の事件が普通ではないとは存じておりますが」
 彼は多少強引に話を事件に戻してきた。
「どうやってここに入って来たのか」
「今のところ指紋も何も見つかっていません」
「壁や庭、寺の中にもですか」
「屋根から天井裏まで調べましたが結局は」
「何もなし」
「首にもなかったそうです。本当に何もありませんでした」
「そうですか」
 それを聞いた本郷と役の目の色が少し変わった。しかしそれは住職には気付かせなかった。
「では仕方ないですね。我々はこれで」
「何も力になれなくてすいません」
「いえ、我々も無理してお邪魔しましたしこれで」
「それじゃあまた。今度は観光客として来ますんで」
「はあ」
 二人は寺を後にした。それから警察署に向かい少女に関する資料も手に入れた。そして事務所に帰ってその少女に関する資料に目を通すのであった。二人は警部と応対したあのソファーに向かい合って座っていた。もう外は暗くなっていたがそれに構わず資料を読んでいた。
「本当に普通の女の子だったんですね」
 本郷は資料を一通り読み終えた後でこう言った。
「何の変哲もないお金持ちの旧家のお嬢さん。交友関係も何もなかったようで」
「悪い友人というのもいなかったようだな」
「とりあえず資料ではこう言ってますね。それじゃあどうして、ってことですよね」
「それを調べるのが我々の仕事だな」
「そうですね。役さんは何だと思いますか?」
「何がだ?」
「あの寺ですよ。何か感じませんでしたか?」
「これを見てくれ」
 彼はそれに応える形で懐から一枚の札を取り出した。
「それは」
「魔物の気配を察する札だ」
 陰陽道の札の一つである。彼はこうした札を常に何枚も何十枚も持ち歩いているのである。
 本郷もそれは同じだ。彼は短刀や日本刀を持ち歩いている。それを見せないようにしているのだ。
「焦げてるから何かと思いましたよ」
 見ればその札は真っ黒に焦げていた。一見では何かわからない程
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